はじめに
結論からいうと、必要な要件※を満たせば、副業としてペットシッターとして始めることは可能です。

※必要な要件とは、定められた資格や実務経験のことを指します。詳しくは別の記事でまとめていますので、興味があれば参考にしてみてくださいね。
ただし、副業の場合は本業とは異なり、時間の管理が思った以上に難しくなることがあります。
残念ながら、本業が時間的にも人員的にも余裕がなかったり、急な調整がしづらかったりする場合は、副業としてのペットシッターを続けられなくなる可能性は高くなるでしょう。
そこで、この記事では、副業でペットシッターをしていく上でのメリット・デメリットについて整理してみました。
「ペットシッターに興味はあるけれど、副業として本当にできるのかな?」と悩んでいる方のヒントになれば幸いです。
副業でペットシッターをするメリット
好きな時間に働ける
本業の合間や休日に対応できる点は、副業でペットシッターをする大きなメリットのひとつです。
ペットシッターの依頼は、保護者さんが旅行や外出をする休日や連休に集中しやすいため、平日は本業、休日はペットシッターという形で両立しやすい傾向があります。
また、対応できる曜日や時間帯をあらかじめ決めておけば、無理のない範囲で仕事を受けることも可能です。
「この日は対応できない」「この時間帯のみ対応する」といった調整がしやすい点は、シフトが固定されがちなアルバイトやパートと比べても、大きな強みといえるでしょう。
本業を大切にしながら、自分のペースで少しずつ始められる点は、副業としてペットシッターを選ぶ理由のひとつになるかと思います。
初期費用が少なく始められる
ペットシッターは、登録などの要件を満たしていれば、極端に言えば身ひとつでも始められる仕事です。
ペットのお世話に必要な用具やケア用品は、基本的に、どのご家庭でもその子に合ったものが用意されているため、それを使って対応することができるからです。

ペットシッターは保護者さんに代わってお世話をする仕事です。つまり、基本的に「普段、保護者さんがしていることを代わりにする」ため、そのお世話に必要な道具が家にない、という事態はほとんど考えられません。
とはいえ、「ご自宅にあるものだけで対応する」「用意してある消耗品を使用させてもらう」というのでは、サービスの質にばらつきが出やすく、満足度が低くなったり、リピートにつながりにくくなったりするのも事実です。
最低限の備品をこちらで用意しておくことで、保護者からの信頼度は大きく変わってきます。
ですので、このあたりの物を初期投資として用意しておく必要があります。
※排泄物については処分するのが当然と考えてしまいがちですが、病気などの記録のために残しておくことを希望される場合もあります。「確認のために残した方がいいか」を事前に保護者さんに確認しておき、「処分して良い」となれば持ち帰って処分しましょう。
一点だけ、初期費用がかかる可能性があるとすれば、自家用車。
わたしが住んでいるような田舎では自家用車がないと不便なケースが多く、もしも現在持っていないということであれば、中古車であっても購入が必要になるため、初期費用がかさむ点に注意が必要です。
一方で、交通網が発達している地域では、必ずしも移動手段として車が必須とは限らないかもしれません。このあたりは、自分の住んでいる地域や対応エリアをふまえて、必要かどうかを判断することが大切です。
動物の役に立つことができる
収入だけを目的にするなら、ほかにも選択肢はいくらでもあります。
数ある副業のなかから、わざわざペットシッターを選ぼうと考えるくらいですから、「動物が好き」「動物の役に立つ仕事がしたい」という強い気持ちをお持ちのことと推察されます。
ペットシッターは、そんな動物たちの生活を、ほんの一部ですが支えることができる仕事です。
わたしたちが目指すのは、いつもどおりのごはんを用意して、トイレを片づけて、動物たちに『保護者さんがいない』以外のストレスを感じさせないこと。
すべての動物が心を開いてくれるわけではありません。警戒されることは日常茶飯事ですし、距離を取られることもあります。部屋に入ってから帰るまで、一度も姿を見ることができないまま、ということだってあります。
そんなケースであっても、ごはん食べてくれた跡があったり、トイレにきれいなうんちがしてあるのを見つけたり。
姿が見えないながら、いつもどおりの暮らしが送れている様子が分かるときが、「この仕事をしていて良かった」と思える瞬間です。
この感覚は、動物好きにはきっと伝わるはず。

口コミやリピーターが増えれば本業にすることも可能
ペットシッターは、保護者さんのご自宅で、保護者さんにとって大切な家族であるペットのお世話を任せていただく仕事です。想像してみるまでもなく、『お仕事の依頼主』である保護者さんとの距離がかなり近い仕事ということがお分かりいただけるかと思います。
距離が近いということは、そのぶん評価や反応がダイレクトに返ってきやすい、ということでもあります。
正直なところ、保護者さんが自分のシッティングを『気に入ってくれたかどうか』は、言葉にされなくても肌感覚でわかります。
気に入っていただけると、保護者さんは紹介するつもりもなく、たんなる雑談としてイヌ友やネコ友にわたしの話を広めてくれます。
この「友達の雑談」には、どんな広告も勝てません。

このまえ、シッターさんにお願いして出張行ってきたんだけど、うちの子がめちゃくちゃ懐いててさぁ、写真見る? 安心して仕事できたよ~
こうなると、チラシやホームページに大きなお金をかけなくても、依頼は確実に増えていきます。
これまで、わたしが経験してきた他のどの仕事と比べても、ペットシッターは『努力した分だけ、結果に結びつきやすい仕事』。
将来的に本業にできる副業を探していて、なおかつ動物に関わる仕事がしたいと考えている方にとって、ペットシッターは十分に現実的な選択肢のひとつだといえるでしょう。
副業でペットシッターをするデメリット
本業とのスケジュール調整が難しい
ペットシッターは、生き物を相手にする仕事です。
そのため、どうしても予定どおりにいかないケースが出てきます。
こうしたことは、決して珍しくありません。

おもちゃの未回収は、誤飲・誤食の可能性につながりますので、そのままにして帰るという判断はNG。でも、それを見越して広い場所で遊んでいても、わざわざ冷蔵庫の下とかに入れにいく子がいるんですよね……笑泣
このような『動物たちの可愛いわがままやいたずらの問題』で済めばいいのですが、ときには体調不良の兆候に気づくこともあります。
わたしの経験でいうと、メールによる前日の聞き取りでは「とくに問題はありません」と言われていたものの、当日うかがうと血便(下痢)をしていた、ということがありました。
その日は、たまたま次の予定まで時間に余裕があったため、保護者さんに連絡を取り、あらかじめ用意してもらっていた動物病院の診察券を使って、その子のかかりつけ医に連れて行くことができました。
診察の際は、動物病院の先生と保護者さんを電話でつなぎ、医療に関する判断はすべて保護者さんに委ねました。
このように、『前日まで健康だったにもかかわらず、当日、調子をくずす』というような、想定外の事態が起こることもあります。
もちろん、『本業があるため、決められた時間帯しか対応できない』ことを事前にしっかり説明し、その点を了承してもらったうえで契約を結ぶことは可能です。
それでも、動物好きのあなたにとって、体調の悪そうな子を残して本業に戻るというのは、かなりの精神的負担になるでしょう。
そうした問題が生じる可能性がある点は、副業でペットシッターをするうえで、あらかじめ理解しておきたいデメリットのひとつだといえます。

体力的な負担がある
ペットシッターを長く続けていると、動物と触れ合っている時間よりも、お世話をするお宅へ移動している時間のほうが長い、という日も出てきます。
わたしは運転が好きなので、さほど苦にはなりませんが、運転が得意ではない同業者の中には、この移動時間を大きな負担に感じている人も少なくありません。
また、自分に慣れていない動物のお世話には、想像以上に気を遣います。
ストレスを与えないよう配慮しつつ、かといってお世話に不備が出ないようにする。
『ちょうどいい塩梅のお世話』を常に探りながら動く必要があるため、精神的な負担も決して小さくはありません。
さらに、大型犬のお世話となると、肉体的な負担も一気に増します。
「かわいい」「楽しい」だけでは、動物たちを満足させるケアはできないのが現実です。

きつかったのは大型犬の多頭飼育のご家庭の依頼が重なり、1日の散歩時間だけで合計8時間となった日。みんなお利口さんで、お散歩自体はスムーズなのですが、その日はさすがに体力の限界を感じました。
本業を持ちながら副業としてペットシッターを行う場合、こうした肉体的・精神的な負担を考慮したうえで、無理のない仕事の受け方をしなければなりません。
判断を誤ると、副業どころか本業にも支障をきたしてしまう可能性がある点には、注意が必要です。
トラブル対応
副業か本業かを問わず、個人でペットシッターを行う以上、万が一なにか起きたときのトラブル対応もすべて自分ひとりで引き受けることになります。
考えられるトラブルは、ペットのケガや脱走、体調不良といった動物に関するものだけではありません。
保護者さんのご自宅での盗難、備品の破損、預かっていた鍵の紛失など、さまざまな出来事がトラブルに発展する可能性があります。
小さなトラブルの段階で適切に対処できなかった場合、本業のほうにまで影響が及んでしまうことも考えられます。
幸い、わたし自身はこれまで大きなトラブルに遭遇したことはありませんが、同業者の話を聞くと、裁判沙汰にまで発展したケースもあるそうです。
内容は、合い鍵と宝飾品の紛失でした。
同業者としてペットシッターを疑いたくはありませんし、とはいえ、保護者さんが事実でないことを言っているとも思いたくありません。
これは非常に難しい問題です。
なぜなら、ペットシッターのお仕事は基本的に『密室』で行われるからです。

わたしも、ときどき考えます。
たとえ何も盗んでいなかったとしても、それをどう証明するのか。「盗んだ証明」は容易にできても、「盗んでいない証明」は難しいのが現実ですので……。
デメリット回避のためのポイント
対応可能エリアを決める
本業とのバランスをとるために、依頼を引き受ける対応可能エリア(自分が移動できる範囲)を決めておくというのは、とても良い案だと思います。
この対応可能エリアは、本業とのスケジュール調整というだけではなく、経済的な点においても、しっかり考えておくべき問題です。
というのも、『お客様の自宅でペットのお世話をする』という仕事の性質状、ペットシッターの仕事においては『移動』が大きなウエイトを占めているからです。
依頼が増えてくると、そのぶん『移動時間』も自然と増えていきます。
この『移動時間』そのものに料金を上乗せするかどうかはペットシッター次第ですが、十分な料金を取るようにしているシッターは多くないように感じます。
わたし自身も、実費としてガソリン代だけはいただきますが、移動にかかった時間分までは料金に反映していません。
そのため、移動時間が長くなればなるほど、「動いているわりに収入が見合わない」という状況に陥りやすくなります。

ちなみに、わたしの対応エリアは『県内』ですので、移動時間が片道2時間になることも。どうしたものか。いまだ悩み中です。
さらに、移動そのものに時間を取られることで、1日に受けられる依頼件数も減ってしまいます。
こうした点を踏まえると、最初のうちから「対応エリア」をある程度絞っておくことは、とても重要です。
たとえば、
といったように、自分なりのルールを決めておくと、本業とのバランスだけではなく、仕事とプライベートのバランスも取りやすくなります。
とはいえ、ペットシッターの仕事を始めたばかりのうちから対応範囲を限定してしまうと、相対的に『潜在的なお客様の数』が減ってしまうのも事実。
「まずは実績を積みたい」「とにかく依頼が欲しい」という場合は、あえて少し広めにエリアを設定し、実際に依頼がほとんど入らない地域を、あとから徐々に対象外にしていくという方法もあります。
最初は小規模で始めて、無理のない範囲で
副業でペットシッターを始めるのであれば、最初は小さくスタートするのが鉄則です。
「最初から上手くいくわけはない」ことは考えているのに、「最初から上手くいってしまう可能性」について考えていない人はかなり多い。じつは、これも立派なリスク。
「1000人に見てもらえれば、1人くらいから依頼があるかも」という見立てで、広告を出したり、宣伝したりしたとして、実際にはその10倍の人に見られて、その10倍の依頼が来る可能性もあるわけです。
想像以上に依頼が集まってしまった場合、本業との両立が一気に難しくなることがあります。
ペットシッターの仕事で、何より大切なのは『信用』です。
仕事に慣れていないうちから件数をこなすことに意識を向けてしまうと、一件一件のお世話が御座なりになりがち。そうなると、せっかく自分をシッターに選んでいただいたにもかかわらず、一度きりのご縁となってしまいます。
それは、双方にとって、もったいない。
まずは、数をこなすことよりも質を大切にしてください。
動物たちに安心して過ごしてもらうこと、そして保護者さんに「またお願いしたい」と思ってもらえることを最優先に考えましょう。
「いずれは本業にしたい」と考えているのであれば、なおさらです。

わたしが最初に行った宣伝方法はチラシ配り。
まずは、自分の行動範囲内にターゲットを絞るという意味で『自分の足で移動できる範囲』の動物病院やペットサロンなど、『動物関係業だけど自分の仕事と競合しない店舗』にチラシを持って行って、置いてもらえないか交渉しました。
ちなみに、チラシはココナラでデザイナーさんに作ってもらいました。素人が作る手作り感満載のチラシも個人的には好きですが、やはりプロが作ったチラシの方が信用度は高くみえます。
ココナラのクリエイターに依頼するペットシッターの仕事に慣れるまでは、ひとつひとつの仕事を丁寧に行えるよう、広告を出したり、チラシを配ったりするエリアは自分のキャパシティに合わせた範囲に限定しておくことをおすすめします。
保護者さんとの信頼関係を築く
たとえば、シッター開始前や終了後にお送りする報告メール。
限られた時間の中で作成するため、どうしても文章が簡潔になりすぎたり、ですます調ではなく箇条書きのような文面になってしまったりすることがあります。
そんなときでも、保護者さんとの間に信頼関係ができていれば、「ああ、今はうちの子のお世話で忙しいんだな」と、好意的に受け取ってもらえることがほとんどです。
では、どうすれば保護者さんに信頼してもらえるでしょうか。
真摯であること、素直であり、誠実であること。
このあたりのことは当然として、わたし自身が強く感じているのは、「保護者さん自身への態度」よりも「ペットへの接し方」を重要視している保護者さんが極めて多い、ということ。

つまり、どれだけ保護者さんに低姿勢で丁寧に対応したとしても、ペットに対するお世話が雑だと信用・信頼は得られにくい、ということですね。
それもそのはずで、ペットシッターに依頼する保護者さんは、ペットを本当に大切に思っているからこそ、不在時のお世話を任せてくださっています。どんなに些細な仕草であっても、それがペットに対するものであれば、決して見逃しません。
また、動物たちにも小手先のテクニックは通じません。
「今日は疲れているんだよね」とか「ちょっと仕事が立て込んでいて」などの言い訳も聞いてもらえませんし、ましてや『本業か、副業か』なんてことは、ますますどうでもいい。
好きか、嫌いか。快適か、不快か。それだけです。
わたしたちペットシッターにできるのは、精一杯心を込めてお世話をし、あとは彼らのジャッジを待つことだけ。
そりゃあ懐いてくれれば最高‼ですが、たとえ懐いてもらえなかったとしても、

留守番させると、いっつも何かいたずらをしていたのに、今回は、お利口に過ごせていたんですよ!
というだけでも、保護者さんの満足度は十分に高いものになります。
保護者さん、そしてその大切な家族であるペットと信頼関係を築くことは、トラブル回避のための最重要課題。
そのために必要なのは、目の前のその子のためになることだけを必死に考えぬいた上で、裏も表もない姿勢で丁寧にお世話にあたること。
信頼関係があるだけで、不要な誤解や小さなトラブルは、驚くほど回避できます。
かならず契約書を交わす
上記のことを徹底していたとしても、生き物を扱うペットシッターの仕事において、トラブルが起こる確率がゼロになることは決してありません。
だからこそ、「何かあったときは、どう対応するのか」を、事前の打ち合わせできちんと決めておくことは、とても重要です。
これまでの話でいうと、たとえば、体調不良に気づいた場合。
上記のときは、『血便を発見したとき、たまたまかかりつけの動物病院が開いて』いて、『たまたま次の仕事までに時間余裕があった』ために、病院に連れて行くことができました。
しかし、お世話にあたった日時が病院の休診日や夜間であったり、次の予定がぎちぎちに入っていたりしていれば、病院に連れて行くことができません。
そうした場合に、
などといった点を、あらかじめ明確にしておく必要があります。
また、副業である以上、「この時間帯しか対応できないが、それでも問題ないか」という点についても、最初の契約時にはっきり確認しておくことも重要です。
これらを口約束だけで済ませてしまうと、いざというときに「言った・言わない」のトラブルに発展する可能性があります。紙でも電子でも構いませんが、しっかり契約書という形で、双方の認識を一致させておくことが大切なのです。
契約書は、ペットシッターを守るためだけのものではありません。
保護者さんにとっても、大切な家族を安心して任せるための『お守り』のような存在です。
お互いが気持ちよく、安心して関係を続けていくためにも、お世話の前には、かならず契約書を交わしておくようにしましょう。
まとめ:ペットシッターは副業でも可能
ペットシッターは、時間や体力にある程度の余裕があれば、副業として始めることは可能です。
ただし、決して『気軽にできる仕事』ではありません。
体力的にも精神的にも負担は大きく、また命を預かる仕事である以上、常にリスクと隣り合わせであることは理解しておく必要があります。
それでも、「動物が好きだ! 副業としてスタートしたい!」という強い思いがあるのであれば、まずは週末や空き時間を使い、無理のない範囲で少しずつ経験を積んでいくことをおすすめします。
大事なことは、いきなり件数を増やそうとせず、本業とのバランスを保ちながら、目の前の動物たちと、保護者さんとの信頼関係をひとつひとつ積み重ねていくこと。
その強い思いがあれば、きっと素晴らしいペットシッターになれます。
副業が本業になる日は遠くない。心から応援しています!!




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