はじめに
ペットシッターとして働いてみたいと思ったとき、気になりやすいのが『料金はどのくらいに設定すれば妥当なのだろう?』ということではないでしょうか。
安すぎると続けるのが苦しくなり、高すぎると依頼につながりにくい。しかも、ペットシッターの料金は地域やサービス内容、動物の種類によっても差があるため、『これが正解』と言い切れる基準などはありません。
だからこそ大切なのは、相場をなんとなく意識することではなく、どんな基準で料金を決めるかを自分なりに整理しておくことです。
この記事では、ペットシッターの料金相場の考え方を整理しながら、
を、わかりやすくまとめます。
これからペットシッターを目指す方や、開業したばかりで料金設定に迷っている方の参考になればうれしいです。
ペットシッターの料金は自由料金で決められる
まず前提として、ペットシッターを行う場合の料金設定は基本的に自由料金です。
個人事業者として個人で活動する場合はもちろん、どこかに勤める場合であっても、事業者によって料金の付け方はさまざま。
そのため、同じ地域であっても、
- 30分・60分などの時間制にしている
- 1日1回訪問・2回訪問で分けている
- 猫、小型犬、中型犬、大型犬で分けている
- 一律料金にして追加のみ変えている
といったように、設定方法は多種多様です。
つまり、ある程度の相場感はあっても、全国どこでも共通する決まりがあるわけではありません。
ただし、自由に決められるからこそ、①保護者さんにとってわかりやすい設定であると同時に、②自分が無理なく事業を続けられる設定になっているかどうかも重要になってきます。
料金を安く見せることだけを優先すると、あとから負担が大きくなり、事業を続けにくくなることがあります。せっかく志があって目指したペットシッターですので、皆さまには、できるだけ長く続けていただきたい。
そのためにも、料金設定を単なる数字の問題としてとらえるのではなく、『自分の働き方そのものに関わる重要事項』としてとらえ、設定することが大切です。
ペットシッターの料金相場を考えるときの基本ポイント
料金は『お世話の時間』だけで決まるわけではない
ペットシッターの料金というと、たとえば『1日1回、1時間のお伺い』『朝晩に30分ずつお伺い』など、『何分お世話するか』で決まるイメージを持たれやすいかもしれません。
けれど、実際には、料金はそれだけで決まるものではありません。
たとえば、同じ1時間の訪問でも、
では、負担も責任もかなり異なります。
さらに、実際の仕事には訪問中のお世話だけでなく、
なども含まれます。
そのため、料金を考えるときは、目の前のお世話時間だけではなく、そのサービス全体にかかる手間や責任を含めて見ることが大切です。
地域・動物の種類・サービス内容で料金は変わる
ペットシッターの料金相場は、地域によっても変わります。
都市部と地方では、移動事情や物価、依頼の入り方も違うため、同じ金額がそのまま当てはまるとは限りません。
また、動物の種類やサービス内容によっても差が出ます。
たとえば、
では、必要な時間や緊張感が違います。
ペットシッターの費用の相場を知ることも大事ですが、最終的には『自分の提供できるサービス内容に合わせて個別具体的に考えること』が必要です。
ペットシッターの料金相場はどう決める?動物別の考え方
猫・小動物・犬で料金を分けるケース
料金設定でよくあるのが、動物の種類ごとに分ける方法です。
たとえば、
というように分けると、それぞれのお世話の違いが反映しやすくなります。
小動物はケージ内での対応が中心になることが多く、猫は食事やトイレ掃除、遊び、見守りが中心になりやすいです。
犬はそれに加えて散歩が入ることが多く、外での安全管理や体力面の負担も増えます。
そのため、一般的には小動物→猫→犬の順で、少しずつ高めに設定されることが多いと思います。
小型犬・中型犬・大型犬で分けるケース
犬の場合は、さらにサイズごとに分けることもよくあります。
これは、大きさの差によって、散歩の負担、引く力、抱きかかえの難しさ、足拭きや移動の手間などが変わってくるためです。
ちなみに、同僚も大型犬ではやや高めの料金にしているのですが、これは大型犬の散歩は消耗する体力がちがうため。たとえば、小型犬の散歩であれば、それほど体力は使いませんので、その日にほかの仕事を入れられますが、(歩行訓練を受けていない)大型犬では1頭の散歩だけで体力を削られることはしばしばあります。
体力的に問題がありそうと感じたら、以降は仕事を控えます。ほかに仕事を入れられないため、少し料金を高く設定している、というのが同僚の理由です。
もちろん、落ち着いた大型犬もいれば、活発な小型犬もいます。
ただ、料金表として見せるときには、ある程度わかりやすく区分しておいたほうが、保護者さんにも伝わりやすいです。

動物別に分けず一律料金にする考え方
一方で、動物の種類やサイズごとに細かく分けず、時間で一律料金にする方法もあります。わたし自身もこの方法を取っています。
この方法のよいところは、料金表がすっきりしていてわかりやすいことです。『30分は●円、60分は■円』となっていれば、保護者さんも内容をイメージしやすくなります。
ただし、一律料金だと、猫1匹と大型犬2頭のように負担差が大きいケースで調整しにくいことがあります。そのため、一律料金にする場合でも、
などを組み合わせて調整すると、分かりやすい差分設定ができます。
訪問回数・滞在時間で決めるペットシッター料金の考え方
1日1回訪問・2回訪問で分けるケース
また、ペットシッターの料金設定では、訪問回数を基準にする方法もよく見られます。
たとえば、
- ●円で、1日1回訪問
- ■円で、1日2回訪問
という形です。
猫や小動物では、内容によっては1日1回でも対応できることがあります。一方で犬は、散歩や排泄の関係から、1日2回以上の訪問が前提になることも少なくありません。
このような場合、1回ごとに料金を設定するのではなく『1日2回訪問コース』として少しまとめた料金をご案内する方法もあります。
どちらがよいかは一概には言えませんが、①保護者さんにとってわかりやすく、かつ、②自分も管理しやすいのであれば、『訪問回数をまとめたプランを作る』というのも利用する価値のある方法だと思います。
30分・60分など時間制で分けるケース
時間制は、開業したばかりの方にも取り入れやすい方法のひとつです。
たとえば、
- 30分コース
- 60分コース
- 90分コース
のようにしておくと、サービス内容との結びつきが見えやすくなります。
猫1頭や小動物のお世話など、短時間で済むものもあれば、散歩、食事、トイレ掃除、遊び、簡単な報告まで含めると1時間では足りないこともあります。
時間を基準にしておけば、『この内容ならこのコース』という整理がしやすくなります。
時間制にするとわかりやすい理由
時間制の大きなメリットは、自分にとっても保護者さんにとってもわかりやすいことです。
お世話内容が増えたときも、『時間を延ばすこともできますよ』と説明しやすくなりますし、無理な詰め込みも起こりにくくなります。
とくに開業初期は、複雑な料金表を作るよりも、まずはシンプルな時間制を軸にしたほうが、運用しやすいことが多いように思います。
たとえば、「60分のプランで散歩とご飯とトイレ掃除をお願いします。散歩は40分以上で」といったご依頼をいただくことがあります。もちろん内容としては理解できますが、実際にはその通りに進まないことも少なくありません。
散歩の準備や帰宅後の足拭き、食事の用意、トイレ掃除、さらにご報告のメッセージを作る時間まで含めると、60分ではかなり慌ただしくなってしまいます。そうなると、どこかを急ぐか、または削るかしかありません。
そのような場合は、ひとつの案として、少し長めの時間のプランをご案内するようにしています。時間に余裕があると、シッターも落ち着いて対応できますし、何よりペットを急かさずにすみます。お散歩も、その子のペースでゆっくり楽しんでもらいやすくなります。
多頭飼育の料金はどうする?頭数加算の考え方
2頭目以降を追加料金にする方法
多頭飼育の料金設定でよくあるのが、1頭目を基本料金、2頭目以降を加算する方法です。
これは、とても考えやすいやり方です。同じ家への訪問であれば移動は1回で済みますが、お世話の手間そのものは確実に増えます。
たとえば、
といったことがあるためです。
そのため、頭数が増えた分だけ、一定額を追加する形は自然です。
加算しすぎないほうがよいケース
ただし、多頭飼育だからといって単純に倍額、3倍額としてしまうと、保護者さんに高く感じられやすいことがあります。
たとえば若く健康な猫2匹の場合、手間は増えても訪問自体は1回です。用意するご飯の数とトイレの数は増えますが、体力的な負担としてはそこまで増えません。
そのため、頭数分まるごと上乗せするのではなく、2頭目以降は少し控えめに加算する形のほうが、納得感を持ってもらいやすい場合があります。
料金は、安ければよいわけではありませんが、説明したときに「なるほど」と思ってもらえることが大切です。

たとえば、
- 1頭目=基本料金+0円
- 2頭目=基本料金+1,000円
- 3頭目=基本料金+1,500円
といった感じです。
犬と猫で加算の考え方が変わることもある
頭数加算は、犬と猫や小動物などで考え方が少し変わることもあります。
猫は同じ時間の中でまとめて対応しやすいことがありますが、犬は散歩や安全管理の関係で、たとえば散歩を1頭ずつ2回行かなくてはならないなど、1頭増えたときの負担が大きくなることがあります。
大型犬が複数頭いる場合などは、さらに慎重な対応が必要になります。
そのため、動物の種類によって加算の幅を変える方法も十分ありだと思います。
曜日・時間帯・繁忙期で料金を変えるときの考え方
土日祝や年末年始に加算をつけるケース
ペットシッターの依頼は、保護者さんの外出予定と連動しやすいため、どうしても特定の日に集中しがちです。
たとえば、
などは、依頼が増えやすい時期です。
そのため、通常料金とは別に、繁忙日加算を設けるケースがあります。これは珍しいことではなく、予定調整の難しさや拘束の重さを考えると、自然な考え方です。
あるいは、基本料金は変更せず、繁忙期だけキャンセル料をアップする、という方法もあるかと思います。
早朝・夜間・緊急対応で加算をつけるケース
曜日だけでなく、時間帯によって料金を変える方法もあります。
たとえば、
などは、通常より予定調整が難しくなるためです。
『時間外は一律2割増し』『当日の依頼は30%加算』など自分なりのルールを作っておくと、いざというときも迷いません。
なお、こうした時間帯の依頼を受ける義務はありません。引き受けが難しいと思うのであれば、あらかじめ時間外の依頼は引き受けられないことを明示しておきましょう。
料金表は複雑にしすぎないことが大切
加算ルールは便利ですが、増やしすぎると料金表が一気にわかりにくくなります。
たとえば、
くらいまでなら理解しやすいのですが、さらに細かく条件を増やしていくと、保護者さんが見たときに「結局いくらになるのかわからない」と感じてしまいかねません。
お金関係の不透明は不信につながりやすいです。
料金表は、細かいほど親切とは限りません。見た人がすぐ理解できることを優先して整えるのがおすすめです。
出張費・交通費はどうする?活動エリアとのバランスを考える
一定範囲は無料にする考え方
出張費や交通費については、一定範囲までは基本料金に含める方法があります。
この形のよいところは、料金表がシンプルになることです。
近隣エリアでの依頼が多いなら、『車で■km以内は●円』など、毎回細かく計算するよりも、ある程度含めてしまったほうが運用しやすいこともあります。
遠方のみ出張費を設定する方法
一方で、活動エリアが広い場合は、遠方のみ出張費を加算する方法もあります。
たとえば、
といった形です。
このルールを作っておくと、遠方依頼に対しても迷いにくくなりますし、あとから『思ったより移動が大変だった』となりにくくなります。

移動時間を軽く見ないことが大切
開業したばかりのころは、まずは依頼がほしいという思いから、遠方からの依頼でも全部引き受けたくなるかもしれません。
ですが、移動が長い依頼が増えると、時間給で考えてみたときに思ったよりも低額だったり、売上があっても体力的に厳しくなりやすかったりします。
そのため、料金設定では、移動時間も見えないコストとしてきちんと考えることが大切です。
わたしが実際に取っていた料金の決め方
時間で基本料金を決めて頭数加算をする方法
わたし自身は、動物ごとに細かく料金を分けるよりも、まず時間で基本料金を決めて、そこに頭数加算を行う方法を取っていました。
たとえば、1時間の基本料金を決めておき、中型犬1頭なら加算なし、2頭なら追加料金をいただく、といった形です。
このやり方は保護者さんにも説明しやすく、時間を増やす場合も計算がしやすいため、わたしは気に入っています。
また、この方法だとその方のお世話にかかる時間が明確になりますので、スケジュール管理もしやすく、無理な詰め込みも避けやすくなります。
あくまで一例ですが、時間制と頭数加算を組み合わせると、次のような形で整理できます。
- 1時間3,000円
- 2時間5,000円(1時間あたり2,500円)
- 3時間7,000円(1時間あたり2,334円)
これに頭数加算をするとして、
というようにしておくと、ほとんどのケースで料金を案内しやすくなります。
シンプルな料金表にしておくメリット
料金表は、細かくしようと思えばいくらでも細かくできます。しかし、開業したばかりという状態で、あまり複雑な料金表を作ることは、わたしはおすすめしません。
シンプルな料金表にしておくと、
というメリットがあります。
最初から完璧な料金表を作ろうとすると、かえって動きにくくなることもあります。まずは運用しやすい形で始めて、実際の依頼内容に合わせて整えていくのも、十分現実的な方法です。

仕事に慣れてきて、何にいくらかかるなどの経験を積んでくると、初期の料金設定ではうまくいかなくなる可能性はあります。理想の料金プランは、経験や知識を得てから作るほうが良いものができあがると思います。
開業したばかりのペットシッターが料金設定で意識したいこと
相場よりも無理なく続けられるかを考える
ほかのペットシッターがいくらくらいに設定しているのかといった料金相場は気になると思いますが、それだけで決めてしまうと、自分に合わない設定になることがあります。
安くすれば依頼が増えるとは限りませんし、安すぎると体力的にも気持ちの面でも続けにくくなります。
料金は、のちのち変更するとしても、半年や一年くらいは無理なく続けられるかで考えることが大切です。
保護者さんにわかりやすい料金表にする
料金が妥当でも、仕組みが複雑だと問い合わせにつながりにくくなります。
たとえば、
などを整理して見せるだけでも、安心感はかなり変わります。
『お金のわかりやすさ』は、信頼にもつながります。保護者さんが見て迷わない料金表を意識することは、とても大切です。
あとから見直せる前提で決めてよい
料金は、一度決めたらそのまま絶対に変えてはいけないものではありません。
開業当初は実績づくりを意識することもありますし、活動を続ける中で、移動の負担や依頼内容の傾向が見えてくることもあります。
そうなったとき、必要に応じて見直していけばよいのです。
最初から完璧を目指しすぎず、まずは続けられる形で始めるという考え方で問題ないと思います。
ペットシッターの料金表はシンプルな形から始めるのがおすすめ
これから料金表を作るなら、最初はできるだけシンプルな形から始めるのがおすすめです。
たとえば、
これくらいでも、十分実用的です。
最初から、
まで作り込みすぎると、自分でも説明しにくくなってしまいます。
料金表は、細かいほどよいのではなく、自分が運用しやすく、保護者さんが理解しやすいことが何より大切です。
まとめ
ペットシッターの料金相場にはある程度の傾向がありますが、最終的には地域やサービス内容、働き方によって大きく変わります。
そのため、『周囲のペットシッターの料金相場に合わせること』だけを考えるのではなく、
を整理して、説明を求められたときにはすぐに答えられる状態にしておくことが大切です。
料金設定は、ただ値段を付ける作業ではありません。自分がどんな働き方をしたいのかを形にする作業でもあります。
これからペットシッターとして活動したい方は、まずはシンプルな形から始めて、実際に経験を積んでから理想のプランを創りあげていくと良いのではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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