ペットシッターとして開業すると、営業時間は自分で自由に決められます。会社勤めのように決まった勤務時間がないぶん、働き方を自分で組み立てられるのは大きな魅力です。
その一方で、自由だからこそ迷いやすいのが営業時間の設定です。
「できるだけ依頼を受けたい」「最初は断らない方がいいかもしれない」と思って、何時でも対応可能な形にしてしまう方も少なくありません。
けれども、営業時間をはっきり決めずに始めてしまうと、早朝や深夜の連絡、移動時間の長い予約、予定の組みにくさなどに悩まされやすくなります。
とくに個人で活動するペットシッターは、自分の体調や生活がそのまま仕事の質に影響しやすいため、無理なく続けられる線引きを最初に考えておくことが大切です。
この記事では、ペットシッターの営業時間を決めるときの考え方や、無理のない設定にするためのポイントについて整理していきます。

わたしは営業時間を決めなかったために、自然と24時間365日対応が当たり前になってしまいました。本記事は自戒の念を込めて作成しています……。
営業時間は「引き受けられる時間」ではなく「続けられる時間」で考える
初めてペットシッターとして開業することになり、いざ営業時間を考える、となったとき、つい「何時から何時までなら頑張れば動けるか」で決めてしまいがちです。
ですが、本当に大切なのは、その時間設定で無理なく仕事を続けられるかどうかです。
開業直後は、少しでも依頼につなげたい気持ちから、対応可能な時間を広く取りたくなるかもしれません。
しかし、毎日のように早朝や夜遅い時間の予約が入るようになると、体力面だけでなく、生活全体のリズムが崩れやすくなります。
ペットシッターの仕事は、ただ「訪問してお世話をして終わり」ではありません。
移動、準備、報告、連絡、スケジュール管理、カルテ確認など、見えにくい作業も多くあります。そのため、表に見えている訪問時間だけで考えると、想像以上に負担が大きくなることがあります。
「この時間までなら動ける」ではなく、「この時間設定なら、自分自身も無理せずに、丁寧なお世話を続けられる」という視点で考えておくと、あとから無理が出にくくなります。
営業時間が曖昧だと、依頼も連絡も広がりやすい
営業時間を決めていないと、予約の相談や連絡が時間帯を問わず入りやすくなります。
とくにLINEやメールでやり取りしていると、相手に悪気がなくても、早朝や夜遅くの連絡が自然に増えることがあります。
また、一度イレギュラーな時間帯を受けると、「前もお願いできたから今回も大丈夫だろう」と思われやすくなります。これは保護者さんにとってごく自然な感覚です。
だからこそ、最初にルールを決めておくことが、自分を守ることにもつながります。
働ける時間と、無理なく働ける時間は少し違う
たとえば、朝5時の訪問も不可能ではないかもしれません。夜10時の対応も、その日だけならできることはあると思います。
けれども、それが続いたときに、毎回落ち着いて運転できるか、丁寧に確認できるか、帰宅後に報告まできちんとこなせるかというと、話は別です。
営業時間は、気合いで乗り切れるかどうかではなく、安定した仕事ができるかどうかで考える方が現実的です。
営業時間を決めるときは、自分の生活と移動条件をいっしょに考える
ペットシッターの営業時間は、生活リズムや家の事情、移動手段、地域の交通事情なども含めて考える必要があります。
同じ「9時〜18時」の設定でも、仕事で使用する移動手段が車なのか、公共交通機関を使うのかによっても、行動パターンはかなり変わります。
また、地方か都市部か、独身か家族が一緒に暮らしているかなどによっても、スケジュールの組み方は違ってくるはずです。
個人で働く場合は、予約管理や連絡、事務作業などもすべて自分で行うことになります。
無理のない営業時間を設定するためには、入っている仕事の量だけを見るのではなく、自分の一日の流れ全体を見て考えることが大切です。

訪問時間だけでなく、その前後の時間も必要になる
ペットシッターの仕事では、訪問そのものの時間以外にも多くの時間がかかります。
出発準備、移動、鍵の確認、到着後の支度、報告文の作成、次の訪問への移動など、細かな作業が積み重なります。
そのため、たとえば「本日の最終訪問が18時終わり」としていても、実際に仕事が終わるのはもっと後になることは少なくありません。
見えている予約時間だけで判断すると、想像以上に一日が長くなってしまいます。

時間配分の仕方はペットシッターにもよると思いますが、わたしは18時までの仕事であれば、18時までペットのお世話にあたります。
それから片付けや戸締りなどをしますので、結局、お家を出るのは18時15分か20分頃になってしまう、ということは珍しいことではありません。
ペットシッターの基本的な収入は、お世話に対する基本料金です。
移動や報告書の作成など、お世話以外の時間が長引くと時間給は減っていきますので、そのあたりのこともしっかり考えておくことが大切です。
家事や休息の時間も、仕事を続けるためには必要
個人で働いていると、つい仕事を優先してしまいがちですが、休息や食事、家のことをする時間をしっかり確保することも、長く続けるためには欠かせません。
疲れた状態が続くと、運転や確認作業、判断力にも影響が出やすくなります。
とくに、朝が極端に早い日と夜が遅い日が混ざると、生活リズムが崩れやすくなります。
営業時間は、空いている時間を全部仕事にあてるためのものではなく、仕事と生活のバランスを取るための土台として考えておくとよいと思います。
最初から「例外対応」を前提にしすぎないことも大切
開業したばかりのころは、「まずは依頼を受けたい」「断ってしまうと機会を逃しそう」と感じやすいものです。
そのため、早朝・深夜・時間外でも、できるだけ柔軟に対応しようと考えることがあります。
もちろん、事情によっては時間外対応が必要になるケースもあります。ただ、それを最初から当たり前にしてしまうと、あとで見直しにくくなることがあります。
営業時間を決めるときは、まず「基本の受付時間」を決めておきましょう。
そのうえで、「例外的に相談できる時間」を設けるかどうかも考えておくと、あとで役立つ場面が多くあります。
一度受けた時間帯は、次も頼めると思われやすい
これは本当に自然なことですが、以前対応してもらえた時間帯は、次回以降も相談しやすく感じられます。
保護者さんからすると、「前に大丈夫だったのだから、今回もお願いできるだろう」と思うのは不思議なことではありません。
単発のつもりで受けた時間外対応が、そのまま自分の通常営業のように思われてしまうことがあります。これは断るシッター側もしんどい思いをしやすいところ。
だからこそ、最初の線引きが重要になってきます。
時間外対応をするなら、条件を決めておくと楽になる
どうしても時間外対応をする必要がある場合、
など、あらかじめ条件を決めておくのもひとつの手です。
「何時でも相談可」ではなく、「条件付きで相談可」としておくと、自分も判断しやすくなりますし、相手にも伝わりやすくなります。
全部をOKとするより、ルールがある方が、かえって安心感につながることもあります。
わたしの体験記|24時間365日対応は、大変なときもある
わたしは営業時間を定めずに仕事を始めてしまいました。仕事が入れば仕事に行き、仕事がない日は休みにしよう。個人事業が初めてということもあり、そんな適当な考えでした。
最初の1、2年間はほとんど仕事も入らなかったので、それでも何の問題もなく過ごせていました。
大変になってきたのはリピーターさんがついてくださるようになってきてからです。
依頼があれば受けることにしていたため、いつの間にか「24時間365日対応」が当たり前になり、繁忙期には早朝5時から深夜23時過ぎまで働く、という日もあります。
開業当初は、できるだけ広く受けることが正解のように思っていました。
でも実際には、無理な形で受け続けるより、続けられる形を整えた方が、長い目で見て良い仕事につながると感じています。
ペットシッターが提供するのは「安心」です。
自分の体調や生活がおそろかになっては、保護者さんにもペットにも安心・安定したサービスを届けることはできません。
まずは自分の健康あってこそ。無理せず働ける営業時間を事前に設定しておくことをおすすめします。
通常日と繁忙期で営業時間を分ける考え方もある
ペットシッターの仕事は、時期によって依頼の入り方が大きく変わることがめずらしくありません。
通常日は落ち着いていても、連休や年末年始、お盆などの繁忙期は、朝夕の訪問依頼が集中しやすくなります。
1年間、ずっと同じ営業時間にする必要はありません。通常日と繁忙期で考え方を分けるのも、無理なく続けるためのひとつの方法です。
ちなみに、繁忙期は1日6件、1日8時間お散歩、ということも。詳しくはこちらの記事にまとめています。
通常日は無理のない時間帯を基本にする
普段は、自分が安定して動ける時間帯を営業時間として設定しておくのがおすすめです。
たとえば、朝8時〜18時、9時〜19時など、自分の生活リズムに合った形で整えておくと、仕事のペースを作りやすくなります。
通常日まで営業時間を広く取りすぎると、どこかで無理を抱えやすくなります。
まずは基本の営業時間を決めて、その中できちんと仕事を回せる形を作っておく方が、結果として安定しやすいです。
繁忙期だけ早朝・夜の相談枠を設ける方法もある
一方で、繁忙期はどうしても依頼が集中しやすいため、その時期だけ少し幅を広げる考え方もあります。
たとえば、「通常営業は9時〜18時、繁忙期のみ7時~20時まで引き受ける」といった形です。
このように分けておくと、普段は無理を抱えすぎず、必要な時期だけ柔軟に対応しやすくなります。保護者さんにも案内しやすく、こちらの都合も守りやすい形です。

繁忙期こそ、全部を受けようとしすぎない
お伝えしたように「繁忙期には営業時間を広げる」という方法もあります。たしかに、依頼が増える時期ほど、「せっかくなら引き受けたい」という気持ちが強くなるものです。
ですが、繁忙期は移動も詰まりやすく、予定変更も起こりやすいため、詰め込みすぎると一気に苦しくなります。
とくに早朝対応と夜対応が連続すると、数日でかなり消耗します。繁忙期が長く続くようになってきたら、引き受ける範囲をある程度限定することも大切になってきます。
営業時間はあとから見直してもいい。まずは「自分を守れる設定」から始めよう
営業時間は、一度決めたら変えてはいけない、というものではありません。
実際に仕事をしていくなかで、「この時間帯はきつい」「ここは相談が多い」「この形の方が回しやすい」ということが見えてくることもあると思います。
だからこそ、最初から完璧な正解を探しすぎなくても大丈夫です。
まずは、自分が無理なく続けられそうな時間帯を基本として決め、必要に応じて少しずつ調整していくのがおすすめです。
迷ったら、少し狭めに設定しておく方が修正しやすい
最初から営業時間を広く取りすぎると、あとから縮めるのは意外と難しいことがあります。
一方で、やや控えめに始めて、必要なら一部を広げる方が調整しやすいです。
実際に動ける時間帯よりも少し短めの時間で設定しておき、実際の動きやすさを見ながら整えていく方が失敗しにくいと思います。
ホームページや案内文でも、わかりやすく伝えておく
営業時間を決めたら、ホームページや案内文にもわかりやすく載せておくと親切です。
たとえば、
などといった形で書いておくと、問い合わせの段階でも認識のずれが起こりにくくなります。
曖昧さを減らしておくことは、自分を守るだけでなく、保護者さんとのやり取りをスムーズにすることにもつながります。
まずは自分の生活を守れる営業時間から
ペットシッターの営業時間は、自由に決められるからこそ、最初の考え方がとても大切です。
何時でも対応できる形にしておくと安心なように思えますが、実際にはその自由さが自分を苦しめてしまうこともあります。
営業時間を考えるときは、
このあたりを意識しておくと、あとから調整しやすくなります。
わたし自身が、間口を広く開けすぎたことでしんどさを感じた経験があるからこそ、最初に線引きをしておく大切さを実感しています。
ペットシッターの仕事を長く続けていくためにも、まずは自分の生活を守れる営業時間から始めてみることをおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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