はじめに
子犬を迎えたとき、多くの方が迷いやすいのがワクチン接種のスケジュールです。
はじめて犬を迎える方はもちろん、久しぶりに子犬を迎える予定のある方にとっても、不安になりやすいポイントだと思います。
そこで今回は、WSAVA(世界小動物獣医師会)のワクチネーションガイドラインを参考に、子犬期のワクチン接種についてわかりやすく整理しました。
誕生日別の考え方や、コアワクチン・ノンコアワクチンの違いも含めて、迷いやすいポイントを順番に見ていきましょう。
WSAVAガイドラインについて
WSAVAは、世界小動物獣医師会(World Small Animal Veterinary Association)の略称です。
このWSAVAでは、犬と猫のワクチン接種について、世界の獣医師が参考にできる指針をまとめるために、ワクチネーションガイドライングループ(VGG)が設けられました。
VGGによるガイドラインは2007年に初版が公表され、その後の改訂を経て、現在は2024年版が最新となっています。
ただし、これらのガイドラインは一律に全世界へ同じ方法を押しつけるものではなく、地域事情や流行状況に合わせて、各国や各病院が実際の接種計画を考えるための土台として示されています。
愛犬の誕生日について
子犬のワクチンスケジュールを考えるときは、誕生日をもとに週齢で考えるのが基本です。そのため、いつ生まれた子なのかがわかると、接種時期の見通しが立てやすくなります。
ただし、保護犬や譲渡犬では、誕生日がはっきりしないことも少なくありません。
そのような場合は、自己判断せず、動物病院でおおよその月齢を見てもらいながら接種計画を相談してみてください。歯や目の状態、歩き方、体つきなどから、ある程度の目安を立ててもらえることがあります。
とはいえ、育った環境や栄養状態によって見え方は変わるため、正確な年齢をぴたりと判断するのは簡単ではありません。誕生日が不明な子ほど、かかりつけの獣医師と一緒に無理のないスケジュールを考えていくことが大切になってきます。
ワクチン接種のスケジュール
犬のワクチンには、
- 法律で年1回の接種が義務づけられている狂犬病ワクチン
- すべての犬に接種が勧められるコアワクチン
- 地域や生活環境によって必要性が変わるノンコアワクチン
があります。
ここからは、それぞれの違いと子犬期の考え方を順番に見ていきます。

狂犬病ワクチンについて
日本では、狂犬病予防法にもとづき、犬の所有者には年1回の狂犬病予防注射が義務づけられています。生後91日齢以上の犬は、狂犬病ワクチンの接種対象になります。
ただし、子犬期はコアワクチンの時期とも重なりやすいため、実際にいつ接種するかは、子犬の体調やその病院で使うワクチン製品の扱いに応じて、獣医師と相談して決めるのが安心です。
コアワクチンについて
コアワクチンは、住んでいる地域や生活環境にかかわらず、すべての犬に接種が勧められるワクチンです。犬では、主に次の感染症に対するワクチンがコアワクチンに含まれます。
VGGの推奨する子犬期のコアワクチン接種スケジュール
WSAVAのVGGでは、子犬のコアワクチンは6~8週齢で接種を開始し、その後は2~4週間ごとに追加し、最終回を16週齢以降で行うことを基本としています。
そのため、初回を何週齢で打つか、次の接種まで何週間あけるかによって、子犬期の接種回数は3回になることもあれば4回になることもあります。
下の表は、考え方をイメージしやすくするための一例です。
| ワクチン接種のパターン例 | 例その1 | 例その2 |
|---|---|---|
| 初回のワクチン | 7週齢 | 8週齢 |
| 2回目のワクチン | 10週齢(3週間後) | 12週齢(4週間後) |
| 3回目のワクチン | 13週齢(3週間後) | 16週齢(4週間後) |
| 4回目のワクチン | 16週齢(3週間後) | ― |

下の図は、お誕生日が1月1日の子の場合の一例です。実際にどのようなスケジュールを組むかは、子犬の健康状態や体重、他の病気の有無などによって変わってくるかと思います。
–
くわしくはかかりつけの獣医師にご相談くださいね。

16週齢以降の最終接種のあとに考えること
16週齢以降でコアワクチンの最終接種を終えたあとは、必要に応じて次のような確認や追加接種を考えます。
- 20週齢以降で抗体検査をする方法がある
- 抗体検査をしない場合や十分な抗体が確認できない場合は、26週齢以降で再接種を検討する
- その後の追加接種
1)20週齢以降で抗体検査をする方法がある
血清学的検査によって、コアワクチンに対する抗体の有無を確認する方法があります。
WSAVAは、20週齢以降での抗体検査を支持しています。十分な抗体が確認できれば、その後の追加接種の判断材料になります。
2)抗体検査をしない、または十分な抗体が確認できない場合
WSAVAの2024年版ガイドラインでは、26週齢以降での再接種が勧められています。
これは、16週齢時点でも母子由来抗体の影響が残っていた少数の子に、できるだけ早く確実な免疫をつけるためです。
3)その後の追加接種
その後の接種間隔は、使うワクチン製品や病院の方針、抗体検査の結果によって変わります。
成犬期のスケジュールについては、別記事で詳しくご案内します。
ノンコアワクチンについて
犬のノンコアワクチンは、地域の流行状況や生活環境によって必要性が変わるワクチンです。
代表的なものとして、
などがあります。
どのワクチンが必要かは、住んでいる地域や散歩環境、他の犬との接触機会などによって変わります。
各種ノンコアワクチンの接種スケジュール
犬パラインフルエンザウイルス
犬パラインフルエンザは、ほかの呼吸器感染症ワクチンと一緒に混合ワクチンに含まれていることが多いワクチンです。
子犬期にはコアワクチンと同じタイミングで接種されることもありますが、その後の追加接種の考え方は、生活環境や使用する製品によって異なります。
とくに、他の犬と接する機会が多い子や、ペットホテル・トリミングサロン・しつけ教室などを利用する子では、必要性が高くなることがあります。
実際の接種スケジュールは、かかりつけの獣医師と相談して決めましょう。
レプトスピラワクチン
レプトスピラワクチンは、コアワクチンとは少し考え方が異なります。
一般に、不活化ワクチンであるレプトスピラワクチンは、初回接種のあとに2~4週間あけてもう1回接種することで基礎免疫をつけます。
その後は、地域の流行状況や生活環境をふまえて、年1回の追加接種が検討されます。
ただし、実際には病院で採用している製品や添付文書に沿ってスケジュールが組まれることも多いため、くわしくはかかりつけの動物病院に確認してみてください。


獣医師によっては、WSAVAのガイドラインを参考にしながらも、実際にはワクチンの添付文書や国内での運用に沿ってスケジュールを組むことがあります。そのため、病院によって接種回数や間隔が少し異なることがあります。
気になることがあれば、接種前に遠慮なく獣医師に確認するようにしてくださいね。
ワクチン接種で迷ったときは、獣医師に相談を
ここまで、WSAVAのガイドラインを参考に、子犬期のワクチン接種スケジュールについて見てきました。
とはいえ、ワクチンについて不安を感じる気持ちはとても自然なものです。

感染症が心配だから接種しておこうかな……

副作用が怖いから迷うなぁ……
という気持ちも、決しておかしなものではありません。

うーん、感染症は怖いけど、基礎疾患があるからワクチン接種するのも怖いなぁ……
など、何かしら不安があるのであれば、ひとりで抱え込まず、愛犬の状態をいちばんよく見てくれる獣医師と相談しながら、その子に合った選択をしていくことが大切です。

わたしは、感染リスクを考えて愛犬にワクチンを接種してもらっていました。ただ、それが唯一の正解だったと言い切れるわけではありません。
だからこそ、愛犬の体調や暮らし方に合わせて、その子に合った選択を考えることが大切だと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました(’ü’)




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