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療法食は自己判断NG|症状改善の例と誤使用による健康被害を解説

療法食は自己判断NG|症状改善の例と誤使用による健康被害を解説 コラム
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はじめに

近年はネット通販でも、さまざまなペット用の療法食を見かけるようになりました。

手軽に買えるぶん、「以前すすめられたから」「症状が似ているから」と自己判断で選んでしまう方もいるかもしれません。

しかし療法食は、健康な犬や猫が毎日の主食として食べる総合栄養食とはちがい、特定の病気や健康状態に合わせて栄養成分が調整されたフードです。正しく使えば体調管理に役立つ一方で、合わないものを続けると健康被害につながるおそれもあります。

この記事では、療法食と総合栄養食の違い正しく使って症状改善につながった例誤使用によって健康被害が出た例を紹介しながら、自己判断で与えてはいけない理由をわかりやすく解説します。

忙しい方のための三行まとめ
  • 療法食は、特定の病気や健康状態の犬猫のために作られたフード
  • 正しく使えば体調管理に役立つが、誤って使うと健康被害につながることがある
  • 同じ病名でも合う療法食はひとつとは限らない。自己判断ではなく獣医師に相談を
にこやま
にこやま

※2024年10月から、ロイヤルカナンの療法食を通販で購入する場合、【かかりつけ動物病院の登録】が必須となりました。

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療法食とは?総合栄養食との違い

療法食とは、特定の病気や健康状態の犬・猫のために、栄養成分の量や比率を調整して作られたペットフードです。獣医療法食評価センターのガイドラインでも、一般的なペットフードとは異なる『特別な管理が必要なフード』として位置づけられています。

一方、総合栄養食は、毎日の主食として与えることを目的に作られたフードです。そのフードと水だけで、成長段階に応じた健康を維持できるよう、必要な栄養バランスが整えられています。

見た目はどちらも同じ『ペットフード』ですが、目的はまったく違います

総合栄養食は健康な犬や猫が毎日の主食として食べるもの、療法食は病気や体調に合わせて獣医師の指導のもとで使うものです。

療法食:特定の病気や健康状態に合わせて栄養成分が調整されたペットフード。獣医師の診断・指導のもとで使用する

総合栄養食:そのフードと水だけで健康維持に必要な栄養がとれる主食用フード

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なぜ療法食を自己判断で与えてはいけないの?

療法食には推奨使用期間があるものがある

療法食の中には、推奨使用期間が設定されているものがあります。

総合栄養食のように、健康な犬や猫が毎日の主食として食べることを前提としたフードとは異なり、療法食は特定の病気や健康状態に合わせて使うフードです。そのため、目的によっては

  • 「まずは数週間」
  • 「当初は数か月以内」

など、使用の目安が定められているものがあります。

たとえば、慢性腎不全の腎機能サポートは当初6か月以内、犬のストルバイト尿石の溶解は5〜12週、急性腸吸収障害の軽減は1〜2週などです。

このように、療法食の使用期間は目的によって異なります。

さらに、「結石があるうえに腎臓の数値もよくない」など、別の病気や体調の問題が重なっている場合は、自己判断で続けずに「今は結石用の療法食だけど、このまま使用を続けてもよいか」と獣医師に確認してみることが大切になります。

療法食は万能な健康フードではなく、状態に合わせて使うものだからです。

同じ診断でも選ぶべき療法食がちがうことがある

同じ『結石』といっても、原因となる結石の種類が違えば、選ぶべき療法食も変わります。

たとえば、ストルバイト結石では尿をやや酸性側に保つ食事管理が用いられる一方、カルシウムシュウ酸塩結石では、尿を酸性にしすぎない管理が必要になります。

前にも結石だったからといって、前と同じ療法食が今回も合うとは限りません。

実際に日本獣医師会の報告でも、『過去に使っていた結石用フードを継続したことが、その後の結石形成に関係した可能性がある』という事例が紹介されています。自己判断で『結石用』とだけ考えて選ぶのは危険です。

体調の変化に応じて見直しが必要になる

病気の名前が同じでも、その時点の体調や検査結果によって、必要な栄養管理は変わることがあります。

たとえば肝臓の病気でも、食欲の有無や体重の変化、ほかの合併症の有無によって、必要な栄養バランスは一律ではありません。肝疾患では、明確な適応がないまま一律にタンパク質を制限することは適切でないとされており、状態に応じた調整が必要です。

「以前すすめられたから」「肝臓の数値が悪いと聞いたから」と自己判断で療法食を選ぶと、そのときの状態に合わない食事になってしまうおそれがあります。

療法食は、獣医師が定期的に状態を確認しながら見直していくことで効果をもつフードです。

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日本獣医師会の報告にみる、療法食の適正使用と誤使用

公益社団法人日本獣医師会は、平成23年度小動物臨床部会に『療法食の在り方検討委員会』を設置し、療法食の使用実態などについて全国の地方獣医師会に聞き取り調査を行いました。

その結果、療法食の使い方が犬や猫の健康状態に何らかの影響を与えた事例として、犬19例、猫18例が報告されています。報告書では、療法食は一般的な健康維持食とは異なり、獣医師の診療と指導のもとで使うことが重要だと整理されています。

ここでは、その報告の中から、療法食を正しく使って症状改善につながった例と、自己判断で使い続けたことで健康被害が出た例を紹介します。

療法食を正しく使用することで症状改善につながった例

日本獣医師会の報告では、15歳のヨークシャー・テリアで、尿石の再発防止用の療法食を続けていたところ、腎不全の所見がみられた事例が紹介されています。

そこで獣医師が食事内容を見直し、最終的に慢性腎不全管理用の療法食へ切り替えたところ、腎機能の改善がみられました。

この症例からわかるのは、療法食は「一度決めたらそのまま続ければよい」ものではないということです。定期的な診察で変化に気づき、その時点の病状に合った療法食へ切り替えたことで、症状の改善につながったと考えられます。

報告書でも、効果的な食事療法には定期的な栄養評価と見直しが不可欠だとされています。

療法食の誤使用によって健康被害が出た例

一方、肥満のためカロリー制限用の療法食をすすめられていた犬が、その後通院をやめ、同じ目的の療法食を自己判断で購入して与え続けた結果、1年後には重度にやせ、低タンパク血症に至っていたという事例も紹介されています。

また、6歳のシャム猫のケースでは、ストルバイト結石による血尿で来院した際に、ストルバイト結石溶解用の療法食を指導されましたが、その後通院が途絶え、飼い主が同じ療法食を通販で購入して長期間与え続けていました。

3年後に再び血尿で受診した際には、今度はシュウ酸カルシウム結石が確認されました。本件の報告では、結石の種類に合わない食事管理を続けたことが、再発や悪化の一因になった可能性が示唆されています。なお、ストルバイト結石の溶解を目的とする療法食には、5~12週という推奨使用期間の目安が示されるものがあります。

これらの症例からわかるのは、療法食は『その病名用のフードを食べていればいい』というものではなく、『その時点のペットの状態に合わせて使うべきフード』だということです。

たとえば結石でも、ストルバイト結石では尿をやや酸性側に保つ管理が用いられる一方、カルシウムシュウ酸塩結石では別の管理が必要になります。

犬のストルバイト結石では、尿pHを6.0〜6.5程度に保つことが理想とされ、尿の酸性化が管理に役立ちますが、カルシウムシュウ酸塩では尿pHを上げる管理が使われることがあります。

『以前と同じ症状』に見えても、『以前と同じ療法食が合う』とは限りません。

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ネットで購入する場合にも、かかりつけの獣医師に確認を

療法食は、必ずしも動物病院でしか買えないものではありません。

ネット通販や量販店のほうが購入しやすく、価格を抑えられる場合もあります。治療中は通院費や検査費もかかるため、少しでも続けやすい方法を選ぶことは大切です。

また、動物病院では在庫がなく取り寄せになることもあり、通販のほうが早く手元に届く場合もあります。早く食事療法を始められることは、大きなメリットといえるでしょう。

ただし、療法食で大切なことは、どこで購入するかより、かかりつけの獣医師に確認したうえで、指示された療法食を必要な期間きちんと続けることです。自己判断で別の製品に変えたり、勝手に続けたり、やめたりしてはいけません。

療法食は、『病気に良さそうなフード』ではなく、その子の状態に合わせて選ばれる食事です。ネットで購入する場合であっても、必ず事前に獣医師へ確認し、診察や経過観察を相談しながら使うようにしましょう。

にこやま
にこやま

知り合いの獣医師さんは、「続けやすいお店で買えばいいですよ」と言ってくださる方でした。食事療法は、無理なく続けられることも大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました(’ü’)

参照文献など
  • 療法食ガイドライン,一般社団法人獣医療法食評価センター,改定2016年7月
  • 療法食の適正使用に向けた課題と対応,公益社団法人日本獣医師会,療法食の在り方検討委員会報告,平成25年6月
  • 日本ペット栄養学会テキストブック

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