先日「チョコレートは犬に食べさせてはいけない食べ物として有名ですが、ホワイトチョコレートはどうなんですか?」との質問をいただくことがありました。
調べてみると、ホワイトチョコには、カカオに含まれるテオブロミンやカフェインが「ほとんど含まれていない」とされる一方で、「少量でもよくない」という声もあり……。

一体どちらが正しいんだ???
ということで、今回はホワイトチョコの中毒リスクについて、3つの論文データをもとにわかりやすく整理してみることにしました。
「どのくらいの量を食べたら危険なのか?」「成分はどの程度含まれているのか?」をデータに則って確認したいという方の参考になれば幸いです。
ホワイトチョコとは
収穫されたカカオ豆は乾燥され、焙煎、磨砕の工程をへて、①カカオマス(冷却・固化したもの)と、②カカオリカー(液体のもの)に分けられます。
さらに、この②カカオリカー(液体)をプレス機で圧力をくわえてしぼると「ココアパウダー」と「ココアバター」に分離されます。
ホワイトチョコは、このうちココアバターのみを使用して作られています。

犬がホワイトチョコを食べたら問題ある?
ホワイトチョコの原料であるココアバターには、テオブロミンもカフェインも※「ほぼ」含まれていません。
犬にとってのNG成分であるテオブロミンやカフェインをほぼ含んでいないということは、まちがって犬が食べてしまってもチョコレート中毒をおこす危険性はきわめて低い、ということになります。
とはいえ、ココアバターは油脂です。
たくさん食べれば脂肪分のとりすぎによって、便がゆるくなることがあります。
チョコレート中毒の危険がほぼないとはいえ、ホワイトチョコもきちんと管理し、愛犬が勝手に食べないよう十分気をつけてくださいね。

愛犬が届く位置に置きっぱなしにしてた!! アブナイ、アブナイ💦
※「ほぼ」含まれていないという表現について
今回、ホワイトチョコレートについてあらためて調べていたところ、「ホワイトチョコにもテオブロミンが含まれる」とする獣医師のサイトを拝見しました。

もしかしてカカオマスを使っているホワイトチョコもあるということ?
と思い調べてみたところ、ホワイトチョコレートについて一般公開されている以下の3つの論文を見つけました。

なるほど。論文によって言っていることがちがうのね。

そういうことみたい。
ということで、どの論文を信じるかによって考え方は変わりそうです。
とはいえ、含まれているとする3番目の論文で考えても、ホワイトチョコレートだけで10㎏の犬で中毒症状がおこる量を満たすとしたら、66,176g(板チョコ1枚が約45gとして、約1,470枚分)必要なので、ホワイトチョコレートの誤食でのチョコレート(テオブロミン)中毒は考えなくて大丈夫かと思います。
注意:低脂肪食を食べている子の場合
いま現在、療法食として低脂肪食を食べている子がホワイトチョコレートを誤食してしまった場合、高脂肪・油分の過剰摂取による悪影響があるかもしれません。
チョコレート中毒を起こす可能性が低くても、このような心配事がある場合には、かかりつけ医に相談の上、指示を仰ぐようにしてくださいね。

わが家の愛猫は慢性膵炎。脂肪の多い食事は膵臓に負担をかけ、症状を悪化させる可能性があるため、低脂肪食を食べてもらっています。
単なるダイエット目的ではなく、何かしらの理由があって低脂肪食を食べている子の場合、脂肪や油分そのものが毒となってしまう場合もあるので要注意です!
まとめ
ココアバターだけで作られているホワイトチョコには、犬にとってのNG成分であるテオブロミン、カフェインはほぼ入っていません。
ホワイトチョコを犬が少々かじったからといって、チョコレート中毒をおこす危険性はきわめて低いので、あわてて吐かせなくても大丈夫です。
ただ、油脂(脂肪分)が多いため、食べてしまったあと愛犬の便(うんち)がゆるくなるかもしれません。
誤食してしまったら、しばらくの間、便の様子には気をつけてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました☻
・メチルキサンチン誘導体と健康-“賢さ”を求めて-:杉本直俊著,金沢大学十全医学会雑誌,第127巻,第1号,16-20(2018)
・食品中のカフェイン、テオブロミン及びテオフィリンの含有量:守安貴子他著,食品衛生学雑誌,1996 年 37 巻 1 号 p. 59-63
・チョコレート製品及びチューインガム中のカフェイン及びテオブロミン含有量の測定:岸弘子著,衛生研究所研究報告,第38号,(H20年9月)




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