ペットシッターってヒマなの? それとも忙しい?
「動物が相手の仕事なら、のんびり働けそう」
「自分のペースで予定を組めそう」
ペットシッターに、そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
けれど実際は、時期によって忙しさにかなり差があります。
とくに年末年始・ゴールデンウィーク・お盆などの繁忙期には、ご依頼が集中し、朝早くから夜遅くまで訪問が続くことも珍しくありません。
今回は、そんな繁忙期のリアルな1日の流れを、開業ペットシッターである筆者の実体験をもとにご紹介します。
そんな疑問をお持ちの方に、仕事のイメージをつかんでいただけたら幸いです。
ペットシッターの閑散期と繁忙期について
ペットシッターの仕事は、基本的に『保護者さんが不在のあいだ、ペットのお世話をすること』です。
そのため、保護者さんがあまり家を空けない時期はご依頼が少なくなり、反対に、お正月やゴールデンウィーク、お盆などの長期休暇にはご依頼が集中しやすくなります。
こうした閑散期と繁忙期の差が大きいのは、ペットシッターの仕事ならではの特徴といえるでしょう。
今回は、その『繁忙期』にペットシッターがどのような1日を送っているのか、実際の流れにそってご紹介します。

繁忙期を乗り切るうえで大切なのは、事前準備とスケジュール管理。この記事では、そのあたりの工夫もあわせてお伝えします。
開業ペットシッターの繁忙期スケジュール【1日6件の実例】
【前日】スケジュールの見直しとシッティングの準備
前日のうちに、翌日のスケジュールを確認します。
このときは、訪問先までの移動ルートもざっと頭の中でシミュレーションしておきます。
というのも、繁忙期はいつものように【自宅→ご依頼先】と移動するとは限らず、】【Aさんのお宅→Bさんのお宅】という流れで回ることが多いからです。そのため、道順や所要時間をあらかじめ考えておくことが大切になります。
あわせて、シッティングに必要なものも確認します。
- リードや首輪の予備はあるか
- 清掃道具などに不足はないか
- 事前に交わした契約書はきちんと持っているか
- ガソリンはちゃんと入っているか
もっとも、これらは繁忙期だけの特別な準備ではありません。
閑散期も含め、毎回の仕事終わりに確認していることです。
そのため、前日はいつも通りのチェックを済ませ、不足があれば補充する、という流れになります。

朝5時~6時:1件目の訪問
本来であれば、ご依頼をお引き受けする時間帯は朝7時以降です。
ただし繁忙期には、早朝の訪問をお願いされることもあります。
お正月のように時期があらかじめわかっている長期休暇では、早い方だと3か月前から予約が入ります。そのため、1か月前には、通常の営業時間帯である7時~19時がほぼ埋まってしまうことも珍しくありません。
その後にご連絡をくださった方には、通常時間帯は空いていないことをお伝えします。そのうえで、「では今回は見送ります」となる方もいれば、「早朝や夜間でも大丈夫なのでお願いしたい」とおっしゃる方もいます。
会社勤めのシッターさんであれば勤務時間は規約にしたがう必要がありますが、個人で開業している場合は、ある程度、自分で調整が可能です。
わたし自身は繁忙期に限り、営業時間を長めに設定しています。
あらかじめ忙しくなることがわかっているため、それに合わせて体調を整えやすいからです。
ただし、無制限にお引き受けするわけではありません。「朝5時でも大丈夫なら」「夜22時でもよければ」という条件をご了承いただいた場合のみ、お受けするようにしています。
生き物が相手ですので、もちろん、時間どおりには進みません。
閑散期で次の予定に余裕がある日は、お散歩の時間をできるだけ長く取ることもあります。ただし繁忙期は、次の予定が詰まっているので時間通りに進めなければなりません。
そのため、各作業時間はいつもより少し短めに見積もって動きます。遅くとも6時には作業を終え、6時10分までには車に乗れるよう意識しています。
朝7時~9時:2件目の訪問
こちらも、犬の多頭飼育のお宅です。
多頭飼育のお世話で気をつけることはいくつもありますが、そのひとつが『お散歩を一緒にできるかどうか』です。
こちらのお宅では、小型犬の親子3頭をお預かりしています。
家の中では仲良く出来ている子たちなのですが、散歩中に体が触れるとケンカになってしまうため、1頭ずつ連れて行かなければなりません。
もし3頭一緒に散歩できるなら、全員でのんびり1時間ほど外で過ごすことも可能ですが、1頭ずつとなると、25分ずつで合計1時間15分前後が限界になります。
そのため、時間配分にはしっかり気を配る必要があります。

訪問時間そのものは延長できません。たとえば最初の1頭のお散歩に40分かかってしまうと、残り2頭にかけられる時間はそのぶん短くなってしまいます。
だからこそ、事前の打ち合わせで「散歩に強いこだわりがあるのはどの子か」「どの子から先に連れて行くべきか」といった点を確認しておくことが大切。
それぞれの性格を把握したうえで、無理のない流れを組むようにしています。
午前10時~11時30分:3件目の訪問
こちらのお宅では、小型犬2頭、猫2頭、インコ2羽のお世話をします。
お庭が広く、「お散歩は庭だけで大丈夫」とのことなので、外への散歩はありません。
その代わり、「寂しがるといけないので、できるだけ長くそばにいてあげてほしい」とご希望をいただいています。そのため、この訪問では滞在時間を長めに取り、清掃にもいつも以上に力を入れます。
犬さん・猫さんと遊びながら、それぞれの寝具を干したり、トイレを水洗いしたり、窓を開けて空気の入れ替えをしたりします。
なお、窓を開ける際は、猫さんを別室に移すなどして脱走が起きないよう注意します。
ある程度清掃が終わったら窓を閉め、犬さんと猫さんにご飯を用意します。
食事の様子を動画で撮影し、作業中の様子も含めて、保護者さんへこまめにお送りします。「いま〇〇をしました」といった形で、なるべくリアルタイムに報告するようにしています。
そのあとで、別室で放し飼いになっているインコさんたちのお世話に入ります。床の排せつ物を片づけたり、ご飯や水を替えたりしますが、人があまり得意ではなさそうなので、ストレスを与えないよう手早く済ませます。
また、こちらのお宅では犬さんに早食いの傾向があるため、ご飯は2回に分けて食べてもらいます。
遊びの時間と食事の時間が交互になるので、ご飯前はしっかり体を動かし、ご飯後は宝探しやロープ遊びなど、ゆるやかな遊びに切り替えるようにしています。
■休憩:11時30分→13時の間
次の現場の近くに早めに到着できたときは、その空き時間で昼休憩を取ります。
渋滞や事故などで予定がずれる可能性もあるため、休憩はなるべく次の訪問先の近くで取るようにしています。
取れても30分ほどなので、車の中でコンビニご飯を済ませることがほとんどです。
あわせて、午後の訪問に備えて、着替えや身だしなみも整えます。靴下を替えたり、ノンアルコールシートで腕を拭いたりするのも、毎回のルーティンです。
午後13時~17時:4件目の訪問
こちらでは、大型犬3頭のお世話をします。
3頭とも仲が良く、相性の面では一緒に散歩しても問題ありません。ただ、みんな力が強いため、安全面を考えて、保護者さんと相談のうえ1頭ずつお散歩に行くことにしています。
若くて体力もあり余っている子たちなので、散歩時間は1頭あたり1時間ほど。3頭分で、合計3時間歩き続けることになります。
ここはとにかく体力勝負です。散歩コースはなるべく変えず、3頭とも同じ流れで歩けるようにしています。

この子たちはとてもお利口なので、2頭までなら何とか一緒に連れて行けそうではあります。けれど、どの組み合わせでも残された1頭が寂しがって鳴いてしまうため、最終的に『1頭ずつ散歩して、2頭でお留守番』という形になりました。
●休憩:17時→18時30分の間
昼と同じく、移動後に空き時間があれば休憩を取ります。
仕事中は緊張が続いているせいか、あまり疲れを感じません。けれど、すべて終わったあとにどっと疲れが出ることは、これまでの経験でよくわかっています。
そのため、少しでも体を休められるように、ストレッチをしたり、車の中で足を伸ばして軽くマッサージしたりします。せいいっぱい、のんびり過ごす時間です。
夜18時30分~20時:5件目の訪問
3件目に訪問したお宅への再訪問です。1日2回のご依頼なので、基本的な流れは昼とほぼ同じです。
ただ、夕方以降は暗くなってくるため、犬さんたちが庭に出るのを嫌がることがあります。
そのため、後半はボール遊びやマッサージ、ブラッシングなど、室内でできることを中心に切り替えていきます。
夜21時~23時:6件目の訪問
本日最後のお仕事です。こちらも、4件目のお宅への再訪問になります。
なお、夜のお散歩は、基本的にはお受けしていません。
たとえ治安の良い場所であっても、
などの事情がない限り、日没後の散歩は控えさせていただいています。
こちらの大型犬さんたちも室内で排泄できますので、夜は念のため庭で様子を見る程度に留め、お散歩は行いません。
もう寝る前の時間帯なので、目がしょぼしょぼしている子もいます。そのため、夜ご飯のあとは部屋の明かりを少し落とし、マッサージをしたり、静かに遊んだりしながら、穏やかに過ごします。
繁忙日を乗り切るコツとは?
事前の打ち合わせでしっかり共有しておく
ご依頼をお引き受けする前に、『繁忙期ならではの事情』をきちんとお伝えしておくことは、とても大切です。
たとえば、
など、起こりうる状況については事前に説明し、ご了承をいただいておきます。
こうした点を事前に共有できていないと、実際に渋滞などで遅れが出たとき、シッター側も気持ちが焦ってしまいます。その状態のまま訪問すると、落ち着いて作業しにくくなってしまいます。
動物たちは、保護者さんが不在なだけでも不安を感じやすいものです。
こちらの焦りや慌ただしさは、そうした子たちにも伝わりやすいため、できるだけ落ち着いて対応できるようにしておくことが大切です。
また、長期休暇の時期は動物病院そのものが休診になっていることも少なくありません。
そのため、わたしは事前に「ご依頼当日は〇〇病院がお休みです。予定も立て込んでいるため、万が一体調不良を見つけても、その場で開いている病院を探してお連れするのは難しいです」とお伝えしています。そのうえで、ご理解いただけた場合のみお引き受けするようにしています。
もちろん、下痢や血便などの異変を見つけた場合は、写真付きで速やかに保護者さんへご報告します。
その後どう対応するか、帰宅を早めるか、様子を見るかといった判断は、保護者さんにお任せしています。
徹底したスケジュール管理
繁忙期の1日をできるだけスムーズに回すためには、スケジュール管理が欠かせません。
とくに気をつけたいのが、予約の重なりです。お引き受けの段階でダブルブッキングにならないよう、しっかり確認する必要があります。

いったんお引き受けしたあとで「やっぱり無理でした」とは言えません。
ほかのシッターさんを探してご紹介したり、時間変更のご相談をしたりと、保護者さんにも余計なご負担をおかけしてしまいます。だからこそ、ダブルブッキングは絶対に避けるよう気をつけています。
わたしは、手帳のマンスリーページを100円ショップのマスキングテープで管理しています。
1日あたりに貼ってある本数で、おおよその忙しさがひと目でわかるので便利です。
また、この仕事は予定変更やキャンセルが入ることもあるため、すぐ貼り替えられるところも重宝しています。

/※画像はプライバシー保護のため、実際のページを参考に再現した見本です。\
体調管理・休憩の工夫も大切!
繁忙期は、移動の合間に取れる時間が主な休憩になります。
ただ、渋滞に巻き込まれてしまい、「今日は休憩が取れなさそうだな……」という日もあります。
あらかじめ『この時間に必ず休む』と決めてしまうと、思い通りにいかなかったときに気持ちが乱れやすくなります。そのため、繁忙期は『休憩が短くなる日もある』と見込んだうえで、取れるところでこまめに休むようにしています。
また、繁忙期は長くても1週間前後です。
『この期間が終わったら、しばらくは仕事量を減らして休むことにしよう』と決めておくと、忙しい日程でも気持ちに少し余裕が持てます。
うまくいかないこともある
事前にスケジュールを入念に考え、何度もシミュレーションしていても、思うようにいかないことはあります。
たとえば、グーグルマップで所要時間を確認して出発したのに、途中で交通事故が起きて通行止めになっていたり、散歩に行こうと思っていた公園がイベント開催中で『犬は入れません』となっていたり。
お世話そのものでも、
など、想定外のことは本当によく起こります。
こうしたことへの対応は、経験を重ねるうちに少しずつ身についていくものだと思います。
「では今回はこうしてみよう」「次は別のやり方を試してみよう」と考えられるようになると、想定外のことが起きても落ち着いて動きやすくなります。
今回ご紹介したのは、あくまでわたし自身の体験です。
ペットシッターになったからといって、必ず繁忙期に早朝から深夜まで仕事を引き受けなければならない、というわけではありません。
これから開業を考えている方にとって、『自分なら何時から何時までお引き受けするか』『これだけ依頼が入った日は、どうやって乗り切るか』を考えるきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました(’ü’)



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