はじめに
犬も人間と同じように、年齢を重ねると少しずつ心や体に変化があらわれます。
そんな変化は、愛犬がシニア期に入ったサインかもしれません。
この記事では、愛犬の老化に気づくためのチェックポイントをまとめました。気になる変化がないか、毎日の暮らしのなかでの確認に役立てていただければ幸いです。
ただし、年齢による変化に見えても、なかには病気が隠れていることもあります。異変を感じた場合には、動物病院で相談されるようにしてくださいね。
体(見た目)の変化
毛が白くなってきた
人間と同じように、犬にも白髪が見られるようになります。
ひげや口まわり、目のまわりなどから少しずつ白くなり、年齢とともに全身に混じることもあります。
毛つやがわるくなった/毛が薄くなってきた
年齢を重ねると新陳代謝が落ち、若いころより毛につやがなくなったり、被毛が薄くなったりすることがあります。
また、シニア犬では換毛期以外の時期にも毛が抜けやすくなることがあります。
抜け毛をそのまま放置してしまうと毛玉や皮膚トラブルの原因になることもあるため、定期的なブラッシングが大切です。
フケが多くなった
高齢になると皮脂の分泌が減り、皮膚が乾燥しやすくなるため、フケが目立つことがあります。
ただし、フケの原因は加齢だけとは限りません。アレルギーや脂漏症、皮膚炎などが関係している場合もあります。
フケが増えたときは、皮ふが赤くなっていないか、湿疹が出ていないかなどもあわせて確認してみてください。
口臭がするようになった
年齢を重ねると口の中のトラブルが増えやすくなり、口臭が強くなることがあります。
とくに歯石の付着や歯周病、口内炎などがあると、においが気になりやすくなります。また、口の中に目立った異常がないのに口臭が強い場合は、内臓の病気が関係していることもあります。
『年をとったから仕方ない』と決めつけず、気になったときは早めに動物病院で相談しましょう。
おしりが小さくなった
犬は前足側に体重がかかりやすいため、年齢とともに後ろ足まわりの筋肉が落ちやすい傾向があります。
そのため、以前よりおしりが小さくなったように見えたら、後ろ足の筋力が衰えてきたサインかもしれません。
立ち上がりにくそうにしていないか、散歩で踏ん張りがききにくくなっていないかも、あわせて見てあげるとよいでしょう。
顔などにイボ(疣贅)ができた
高齢になると、顔や体にイボ『疣贅(ゆうぜい)』のようなできものが見られることがあります。
数ミリほどの小さなものから、少し大きくふくらむものまでさまざまで、こすれる場所にあると出血することもあります。
多くは良性ですが、脂肪腫や腫瘍など別の病変が隠れている場合もあるため、できものに気づいたら自己判断せず、動物病院で確認してもらうと安心です。

目が白く濁ってきた
シニア犬では、目が白っぽく見えるようになることがあります。加齢にともなう変化でそう見えることもありますが、白内障など視力に関わる病気が隠れている場合もあります。
見えにくくなると物にぶつかりやすくなるため、家具の角にカバーを付ける、通り道に物を置かないなど、安全に過ごせる工夫をしてあげましょう。
ただし、急に家具の配置を大きく変えると、かえって混乱してしまうこともあります。愛犬まわりの環境を変えるときは少しずつ進めるのがおすすめです。
頭やしっぽがさがってきた
老犬になると首まわりや体幹の筋力が落ち、以前より頭が下がりがちになったり、しっぽを高く上げにくくなったりすることがあります。
決して「わたしを見ても、しっぽを振らなくなった」と悲しまれないでください。
体が思うように動かなくなってきただけで、心の中ではきっと嬉しく思っているはずです。
下痢や便秘になりやすくなった
高齢になると消化機能が落ち、下痢や便秘をしやすくなることがあります。
また、シニア犬は環境の変化や刺激に敏感になりがちで、それらのストレスがおなかの不調の原因になることも。たとえば、暑さ寒さ、空腹やのどの渇き、寝床やトイレ環境の変化、まわりの騒音などは負担になりやすい要素です。
なお、下痢や便秘は病気が原因のことも多いため、排便に異変を感じた場合は、なるべく早く動物病院で相談してみてください。
体型が著しく変化した
食事の内容や量を変えていないのに太ってきた、あるいはやせてきたという変化は、シニア犬でよく見られます。
年齢とともに活動量や基礎代謝が落ちて太りやすくなることもあれば、食べる力や消化吸収の低下でやせてくることもあります。
しかし、急激な体重の増減は病気のサインである場合もあります。
たとえば10kgの犬にとっての1kgの増減は、人でいえば60kgの人が6kg増減するようなもの。『たかが1kg』と思わず、急激な体重の変化があったときは動物病院で相談しましょう。
こうした体の変化は目に見えてわかりやすい反面、「年齢のせいかな」と見過ごしてしまいやすい部分でもあります。
しかし、なかには病気のサインが隠れていることもあります。
気になる変化があるときは、決して自己判断せず、かかりつけの動物病院に相談するようにしましょう。

何かあれば早期発見、何もなければ「良かった良かった」。早めの受診の良いところですね。
行動の変化
呼んでも反応しないときがある
年齢とともに聴力が低下し、若いころより音が聞こえにくくなる犬もいます。そういう子では、名前を呼んでも反応しなかったり、大きな音がしても気づきにくくなることも。
聞こえにくくなっているときに、急に体に触れると驚かせてしまうことがあるため、触れる前には愛犬にこちらの存在を伝えてあげましょう。
たとえば、
といった工夫が役立ちます。
寝ている時間が増えた/眠らなくなった
シニア犬になると、若いころより寝ている時間が増えることがあります。これは自然な変化で、体力を回復したり疲れをとったりするためにも、睡眠はとても大切です。できるだけ静かで落ち着ける環境を整えてあげましょう。
反対に、認知機能の低下などがあると、夜に落ち着かず歩き回ったり、夜鳴きが増えたり、眠らなくなる場合もあります。
短い睡眠をくり返したり、昼夜逆転したりといった日々が続くと、愛犬にも家族にも負担が大きくなりやすいため、昼間にほどよく刺激を取り入れて、夜に眠りやすくしてあげる工夫も大切です。
たとえば、
などが役立つことがあります。
よく物にぶつかるようになった
よく物にぶつかるようになったときは、視力が落ちてきている可能性があります。加齢による見えにくさのほか、目の病気が関係していることもあるため注意が必要です。
ぶつかってケガをしないように、家具の角にカバーを付ける、通り道に物を置かないなど、室内環境を整えておきましょう。
前述のとおり、家具の配置を大きく変えると混乱してしまうこともあります。環境の変更は少しずつ行うのがおすすめです。
散歩に行くと足の甲が汚れるようになった
散歩のあとに足の甲が汚れている場合は、足先をうまく持ち上げられていない可能性があります。
こうした変化は、加齢による筋力低下だけでなく、関節や神経のトラブルが関係していることもあります。
そのまま歩き続けると、足先や爪を傷めてしまうことがあるため、無理をさせないことが大切です。
『歩き方がおかしい』『足先を引きずっている』など歩行時の様子に異変を感じたら、なるべく早めに動物病院で相談しましょう。
歩幅が狭くなった
年齢とともに股関節やひざまわりがかたくなったり、後ろ足の筋力が落ちたりすると、歩幅が少しずつ狭くなることがあります。
その結果、足がもつれやすくなったり、歩くスピードがゆっくりになったり、つまずきやすくなったりすることがあります。
関節まわりをほどよく温めたり、無理のない範囲でやさしくさすってあげるのもよいでしょう。
徐々に変化してきたのではなく、急に足を触るのを嫌がりだしたのであれば、動物病院で確認してもらうことをおすすめします。
階段など段差をさけるようになった
シニア犬になると、段差や階段をためらうようになることがあります。
無理に登らせたりジャンプさせたりすると、関節や腰に負担がかかるおそれがあります。
スロープを用意したり、抱っこできる子は介助したりして、できるだけ負担を減らしてあげましょう。

骨折でもしたら、愛犬の負担はもちろん、お金も時間も労力もぐっと増えてしまいます。シニア犬は心ゆくまで甘やかしましょう。
トイレの失敗が増えた
トイレの失敗が増えるのも、シニア犬によく見られる変化のひとつです。
認知機能の低下のほか、膀胱まわりの筋力の低下や、尿意・便意をうまく感じ取りにくくなることなどが関係している場合があります。
実際、おもらしが増えると介護の負担は大きくなります。
それでも、きちんと排泄できていること自体はありがたいことです。トイレでない場所でしてしまったとしても、まずは排泄そのものができていることを前向きに受け止めたいところです。
なお、排尿しづらそうにしている、何度もトイレに行くのに出ないなどの様子がある場合は、病気が隠れていることもあるため早めの受診をおすすめします。
食欲がなくなった/あまり食べなくなった
シニア犬では、若いころより食欲が落ちることがあります。
ただし、あまりにも食べない場合は、歯や口の中の痛み、内臓の不調などが関係していることもあります。
いつもより食べる量が明らかに減った、好きなものまで食べないというときは、早めにかかりつけの動物病院へ相談しましょう。
食べ物の好みが変わった
年齢とともに歯やあごの力が弱くなり、かたいものより柔らかいものを好むようになる犬もいます。また、消化機能の変化から、以前より食べやすい食事を好むようになることもあります。
ただし、やわらかい食事は歯に汚れが残りやすいため注意が必要です。
歯周病は口の中だけでなく、全身の健康にも影響することがあります。無理のない範囲で歯みがきなどのデンタルケアを続け、口の中を清潔に保つようにしましょう。
心の変化
ほかの動物やおもちゃなどに関心を示さなくなった
若いころは何に対しても興味津々だった犬も、年齢を重ねるにつれて、少しずつ好奇心や意欲が薄れ、周囲のものに関心を示さなくなることがあります。
ですが、『もう年だから仕方ない』と何もしないでいると、刺激の少ない毎日になってしまいがち。
愛犬の様子を見ながら、無理のない範囲で楽しめる遊びや声かけを取り入れてあげると、気分転換や意欲の維持につながることがあります。
ちなみに、わが家の愛犬とは、かくれんぼや宝探しのようなおやつ探しをして遊んでいました。
ただ、視力の低下などで見えにくくなっている場合もありますし、気分が乗らないときに無理に遊ばせるとかえってストレスになることもあります。愛犬の様子を見ながら、無理のない範囲でお楽しみくださいね。
散歩にあまり行きたがらなくなった
散歩が大好きだった子でも、年齢とともに外へ行きたがらなくなったり、少し歩いただけですぐ疲れてしまったりすることがあります。
原因はさまざまで、呼吸や心臓の不調、関節の痛み、内分泌の病気などが隠れている場合もあります。
そんな様子が見られたときは、一度かかりつけの動物病院で相談してみると安心です。
触られるのを嫌がる/怒りっぽくなった
体に触れられるのを嫌がったり、怒りっぽくなったりするのも、シニア犬で見られることがある変化です。
今までできていたことが思うようにできなくなったことで不安や戸惑いが強くなっているのかもしれませんし、視力や聴力の低下でまわりの状況がつかみにくくなっている可能性もあります。
また、実際に体のどこかに痛みがあり、触られるのを嫌がっていることもあります。
どこを触ると嫌がるのか、どんな場面で怒りやすくなるのかをよく見て、気になる場合はかかりつけの獣医師さんに相談してみましょう。
痛みや不快感が原因であれば、治療やケアによって落ち着くこともあります。
シニア期に入ったら、半年に一度の定期検診を!
ここまで、愛犬に見られやすい老化のサインについてご紹介してきました。
年齢を重ねると、心や体には少しずつさまざまな変化があらわれます。なかには自然な老化によるものもありますが、病気のサインが隠れていることもあります。
だからこそ、毎日の小さな変化に気づいてあげることがとても大切です。
そして、気になる症状があるときはもちろん、特に目立った異変がない場合でも、シニア期に入ったら定期的に健康診断を受けておくと安心です。
ひとつの目安として、
愛犬がシニア期に入ったら半年に1度程度、
健康チェックを受けることをおすすめします。
愛犬の変化に早く気づくことは、これからの時間をより穏やかに過ごすことにもつながります。無理のない範囲で、ぜひ毎日の様子をやさしく見守ってあげてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました(’ü’)




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