はじめに
犬のペットシッターというと、『ご飯を食べさせ、散歩に連れて行くだけの仕事』というイメージを持たれることがあります。
もちろん、それらも大切なお世話のひとつです。けれど実際に行う仕事は、それだけではありません。
そうしたことをひとつずつ確認しながら、その子に合った対応を考えながら行う必要があります。
とくに、保護者さんがいない状況では、いつもは落ち着いている子でも不安になったり、逆に興奮しやすくなったり、普段とは違う反応を見せることがあります。
また、初めて会う子や、環境の変化に敏感な子のお世話では、ちょっとした接し方の違いがその後の関係や与えるストレスに大きく影響することもあります。
今回の記事では、犬のお世話をするときに気をつけたい5つの注意点と、より良いお世話につながる4つのコツを、初心者の方向けにやさしくまとめました。
ペットシッターが普段、犬のお世話をする際に、どんなことに気をつけているのか、興味のある方の参考になれば幸いです。
- ペットシッターになりたい方
- ペットシッターの仕事内容について興味がある方
- ペットシッターに依頼したら、どんなことをしてくれるか知りたい方
犬のペットシッターをするときの5つの注意点
初対面の犬には距離感を大切にする
人でも犬でも第一印象はとても大切です。
初対面の犬に会うと、つい『早く仲良くならねば』という思いから焦って事を進めてしまうことがありますが、最初からぐいぐい近づくのは逆効果になることも。
『犬は猫に比べて人懐っこい』と思われがちですが、当然ながら、なかには人見知りな子や、怖がりの子もいます。とくに『シッターを頼まれる=保護者さんが不在』という状態では、後ろ盾を失った不安から警戒心が強くなることも珍しくありません。
そのため、初対面の犬には、まず落ち着いて存在を受け入れてもらうことが大切です。
相手を刺激しない接し方を意識しましょう。
ペットシッターだからといって、懐かれなくてもいいのです。犬がストレスなく過ごすことができれば、それで十分。犬が自分から近づいてくるまでは、無理に距離を詰めないほうが安全です。
散歩は楽しさよりも安全を優先する
ペットシッターとして行う犬の散歩は、ただ歩けば良いというものではありません。
犬の性格、年齢、体力、その日の体調、天候、道路状況などによって、気をつけるべきことは大きく変わります。
たとえば、引っ張りが強い子や拾い食いをしてしまう子ならリードさばきに注意が必要ですし、怖がりな子なら大きな音や自転車、知らない人とのすれ違いに配慮する必要があります。
また、いつもより歩きたがらない、立ち止まる、呼吸が荒いなどの様子があれば、無理をさせない判断も必要になります。暑い日には路面の熱さ、寒い日には体の冷えにも気をつけたいところです。
散歩は、犬にとって楽しい時間であると同時に、事故が起こりやすい時間でもあります。
『予定通りに歩くこと』よりも『安全かつ無事に帰ること』に意識を向けた散歩を心掛けましょう。
なお、『保護者さん以外とは散歩に行かない』という子もいますので、散歩希望のご依頼の場合には、家族以外の人と散歩ができるかも事前に確認しておかなければなりません。

食事やおやつは『いつも通り』を守る
犬によっては、食物アレルギーがあったり、お腹をこわしやすかったり、療法食を食べていたりすることがあります。そのため、ペットシッターの判断で内容や量を変えてはいけません。ほんの少しのおやつでも、体調に影響する場合があります。
食事の量、タイミング、与え方、おやつの有無は、事前に保護者さんと確認しておくことが大切です。
食欲が落ちているときも、無理に食べさせようとせず、まずは様子を観察し、必要に応じて保護者さんへ報告しましょう。食べなかったこと自体も、大事な情報です。
また、ペットシッターは基本的に時間を区切ってお伺いするケースが多いのですが、食べムラがある子ではご依頼の時間内に食べ終わらないこともあります。
ドライフードであれば残りを出したまま(次の訪問時に片付けることにして)帰ることもありますが、
などの理由があれば、食事量が足りていないと分かりつつ処分することもあります。
そのあたりのことも事前に保護者さんに伝えておくとともに、食べた量と残した量の正確な数字を、毎お世話ごとに記録して報告することが重要です。
排せつの管理とマナーを丁寧に行う
排せつの確認は、ペットシッターにとって、とても重要な仕事のひとつです。
ただ単に片づければよいのではなく、回数や量、状態を見て、体調の変化につながるサインがないかを確認する必要があります。
たとえば、
こうした変化は見つけ次第、保護者さんに、できれば写真とともに報告します。
また、犬の種類によっては排便時におしりまわりの毛を汚してしまうことも。便がついたままだと不衛生ですし、まわりの家具を汚してしまう可能性もあります。ペット用のウェットシートや水のいらないシャンプーなどを持参し、不測の事態に備えておくことも大切です。
おしっこやうんちは、犬の健康状態と生活の質が表れやすい部分です。作業の一部として流すのではなく、観察の機会として丁寧に見るようにしましょう。
ちなみに、散歩中の排せつマナーの厳守も大事な仕事。いつもとちがう人が連れていたとしても、犬好きの方は、案外よその犬のことも覚えているものです。
保護者さんの信用にも影響しますので、排せつ後の処理をきちんと行うことはもちろん、周囲に配慮しながら行動することはきわめて重要です。

おはようございます。○○さんのとこの太朗くんですよね
体調チェックと緊急時の対応を想定しておく
ご依頼期間中は『何も起こらないこと』が理想ですが、いつもそうとは限りません。生き物相手のことですので、突然、体調不良や思わぬトラブルが起こることもあります。
お世話中は、元気の有無、歩き方、食欲、水の飲み方、排せつの状態、呼吸の様子など、いつもと違う点がないかを注意深く見ておきましょう。はじめてのご依頼の子の場合には、いつもの様子が分からないため、より気をつけて注視しておくことが大切です。
万が一『一般的に異常と見られる行動』をとった場合には、できるだけその状況を記録して、いち早く保護者さんに報告するようにしましょう。
一般的に異常と見られる行動とは、たとえば、
などがあります。
そしてもうひとつ大切なのが、緊急時の連絡先や対応方法を事前に確認しておくことです。
ペットの体調不良だけでなく、地震や強風などの天災によって緊急事態が生じるおそれは常にあります。
保護者さんへの連絡手段、かかりつけの動物病院、万が一受診が必要になった場合の流れなどを、あらかじめ整理しておくと、いざというときに落ち着いて動きやすくなります。
緊急時に本当に必要なのは、完璧な判断力よりも、慌てずに状況を整理して行動する姿勢です。
ここまで、犬のお世話をするときに気をつけたい注意点を見てきました。
ただ、実際のお世話では『気をつける』だけでなく、犬や保護者さんに安心してもらうための姿勢も大切です。

ご飯の用意や散歩など。同じお世話をするにしても、ちょっとした気配りによって、犬に与えるストレスや保護者さんの安心感は変わってきます。
そこで次に、犬のお世話をする際に、大切にしたい4つのコツをまとめます。
ペットシッターの仕事そのものに向いているか気になる方は、こちらもあわせてご覧ください。
犬のペットシッターとして大切にしたい4つのコツ
保護者さんとの信頼関係を大切にする
ペットシッターの仕事は『犬のお世話』がメインですが、『犬だけを見ていればよい』というわけではありません。実際には、保護者さんとの信頼関係があってこそ、安心して任せてもらえる仕事です。
愛犬のお世話をさせていただくにあたって、
そうした点を事前に把握しておくことで、お世話の仕方は大きく変わります。
保護者さんが信用してくださっているかどうかは、じつは犬との関係にも大きく関係してきます。犬は群れで生きる動物です。自分の群れのボス(保護者さん)が認めた動物(ペットシッター)を認めてくれることはよくあります。
信頼は、ささいなことでも誠実に対応する姿勢の積み重ね。清掃、お世話、報告。ひとつひとつの行動を丁寧に行い、信頼を得ることが大切です。
犬の性格を見極めて接し方を変える
犬といえば、明るく尻尾を振って、人が好きで、というイメージを持つ人は多そうですが、当然ながらみんな同じ性格ということはありません。
人が好きですぐに懐く子もいれば、慎重で慣れるまで時間がかかる子もいます。活発な子もいれば、静かに過ごしたい子もいます。
そのため、マニュアル通りの接し方をしているだけでは、うまくいかないこともあります。
なかには、尻尾を振りながら噛みつく子もいます。大切なのは、『尻尾を振っているから好印象』と最初から決めつけず『この尻尾フリフリはどういう意味かな』と考えながら接することです。
犬は人語を話せませんが、よくよく観察していると、
をしっかり伝えようとしてくれていることに気づきます。
その子に合った距離感を見つけられると、お世話もしやすくなります。
落ち着いた行動を意識する
犬は驚くほどに人の雰囲気をよく見ています。
愛犬家のなかには、こちらが慌てていたり、イライラしていたりすると、その空気が犬に伝わってしまったという経験をした方は多いのではないでしょうか。
空気が伝わるということは、ゆっくりした動きや落ち着いた声かけも伝わるということ。この空気感は犬を安心させやすくなります。特に、初対面の犬や緊張しやすい犬には、この『落ち着き』がとても大切です。
何か予定外のことが起きたときも、犬に気取られないように、まずは深呼吸して状況を確認すること。
お世話時に限らず、普段からどんなときでも慌てず、落ち着いて行動する癖を身につけておきたいところです。

常に安全を最優先にする
ペットシッターの仕事で一番の危険は『油断』です。
玄関の出入り、リードの装着、散歩中のすれ違い、食べ物の管理、室温管理など、注意すべき点はたくさんあります。ときには、かわいそうに見えても、我慢させておかなければならない場面もあります。
たとえば、
- 興奮している状態で外に出さない
- 体調が心配なら、行きたがっても散歩を短くする
- 喜ぶけれど少し危険がある、という遊びは控える
- 2頭で散歩に行きたがるが、自分には1頭ずつの散歩しか自信がないなら1頭ずつの散歩にする など
といった判断です。
犬のためを思ってすることが、結果的に保護者さんの安心にもつながります。安全を最優先にできることは、信頼されるペットシッターの大切な条件です。
犬のペットシッターは『犬が好き』だけでは務まらない
犬が好きなことは、ペットシッターにとって大切な気持ちです。けれど、それだけで十分とは言えません。犬のお世話を仕事として行うときは、かわいがること以上に、よく見て、無理をさせず、安全に対応することが大切です。
特に気をつけたいのは、以下の5つです。
- 初対面の犬には距離感を大切にする
- 散歩では安全を最優先にする
- 食事やおやつの内容は自己判断で変えない
- 排せつの状態とマナーを丁寧に確認する
- 体調チェックと緊急時の備えをしておく
また、より良いお世話につなげるためには、保護者さんとの信頼関係、犬の性格の見極め、落ち着いた行動、安全第一の姿勢も欠かせません。
犬のお世話は、見た目以上に気を配ることの多い仕事です。ですが、犬と保護者さんの安心につながる、やりがいのある仕事でもあります。
当ブログは、ペットシッターを目指すあなたを応援しています!
最後までお読みいただき、ありがとうございました(’ü’)




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