犬や猫などのペットがいる家庭では、旅行、出張、入院、急な用事などで、一時的にお世話が難しくなることがあります。
そのようなときに、保護者さんに代わって食事やトイレ掃除、散歩、体調確認などを行うのがペットシッターの主な役割です。
ただし、ペットシッターの仕事は「動物と遊ぶ仕事」というだけではありません。
ペットの命を預かるだけでなく、保護者さんの自宅に入る責任も伴う仕事です。
この記事では、ペットシッターの仕事内容や、訪問時に行うこと、依頼されることがある補助的な業務、対応できないことについて整理します。
ペットシッターは保護者さんに代わって自宅でお世話をする仕事
ペットシッターは、基本的に「保護者さんが不在の間、自宅を訪問してペットのお世話をする仕事」です。
ペットの食事や飲み水を用意するほか、トイレ清掃、散歩、遊び相手、体調確認などを行い、作業のあとにはお世話の内容を保護者さんへ報告します。
ペットだけでなく、離れて過ごす保護者さんに安心してもらうことも大切な仕事のひとつです。
基本は「普段の生活に近い形」でお世話を行う
ペットシッターの仕事では、ペットができるだけ落ち着いて過ごせるよう、事前の打ち合わせで保護者さんから聞き取った内容に沿ってお世話を行います。
たとえば、食事の量、食べる時間、散歩のコース、トイレの片づけ方、好きな遊びなどを事前に確認し、その内容に沿ってお世話を行います。
そうすることで、ペットに余計なストレスをかけにくくなります。
ペットは(特に猫では)環境の変化に敏感な子がいます。
そのため、シッターが自己判断でお世話の方法を大きく変えることはせず、打ち合わせで確認した内容をもとに、落ち着いて過ごせるように対応することが大切です。

ペットホテルや動物病院との違い
ペットホテルや動物病院に預ける場合、ペットは自宅を離れて過ごすことになります。
一方、ペットシッターは保護者さんの自宅へ訪問するため、ペットは住み慣れた場所で過ごすことができます。
特に、環境の変化が苦手な猫や、高齢の犬、持病のあるペット、知らない場所が苦手なペットにとっては、自宅でお世話を受けられることが安心につながる場合があります。
ただし、ペットシッターは動物病院の代わりではありません。
治療や診断は行えないため、ペットの体調に不安がある場合は、動物病院併設のペットホテルへ預けることをおすすめする場合もあります。

「以前ペットホテルに預けたところ、丸1日飲み食いもせず、トイレもせずだった」という猫さんのお世話を担当させていただいています。
家にいられるためか、わたしへの人見知りも少なく、落ち着いた様子で留守番ができているため、保護者さんも安心してお出かけができると喜ばれています。
ペットシッターの主な仕事内容
ペットシッターの仕事内容は、依頼内容やペットの種類によって変わります。
ここでは、訪問時に行うことが多い基本的な業務を紹介します。
食事と飲み水の管理
ペットシッターの基本的な仕事のひとつが、食事と飲み水の管理です。
事前の打ち合わせで確認した内容に沿って、フードの種類、量、与え方、食器の場所などを確認しながら対応します。特に多頭飼いの場合、フードの内容がそれぞれ違うこともありますので、間違いのないよう注意しなければなりません。
中には、食欲にムラがある子や、知らない人の前では食べないという子もいます。
1頭だけであればフードを置いて帰って、次の訪問の際に食べた量を確認することもできますが、多頭飼いの場合、誰がどれだけ食べたかわからない、という状態になることもあります。
このような場合は、そのとき食べた量や残してあった量などの「確認できた事実」を保護者さんへ報告することになります。
できること、できないことを事前の打ち合わせの段階で保護者さんへ伝えておくことが大切です。
飲み水についても、汚れや減り具合を確認し、新しい水に交換します。
夏場や多頭飼育の場合は、水の量や設置場所にも注意が必要です。
トイレ掃除と生活空間の清掃
トイレ掃除も、ペットシッターの大切な仕事です。
猫の場合は、猫砂の汚れを取り除き、必要に応じて周辺の掃除を行います。
犬の場合は、ペットシーツの交換や、排泄物の片づけを行います。
排泄の状態は、ペットの体調を知る手がかりになります。
など、気になる変化があれば記録し、保護者さんへ報告します。
また、食べこぼしや水こぼれ、抜け毛など、ペットが過ごす場所の清掃を行うこともあります。
ただし、本格的な家事代行とは異なるため、掃除の範囲は事前に決めておくことが大切です。
散歩に連れて行ったり、遊び相手になることも
犬のお世話では、散歩を依頼されることがあります。
散歩の時間、コース、リードのつけ方、他の犬との距離の取り方、排泄物の処理方法などを事前に確認してから対応します。
散歩中は、車、自転車、他の犬、人、拾い食い、急な飛び出しなどに注意が必要です。
特に初めて対応する犬の場合は、性格や力の強さが未知数です。興奮してしまうもの、苦手な音などを細かく確認しておく必要があります。
老犬や猫、フェレットなどの小動物の場合は、室内で遊び相手を依頼されることもあります。
依頼されたからといって、ペットが乗り気でないのに無理に遊ばせる必要はありません。ペットの様子を見ながら、落ち着いて過ごせる距離感で接することが大切です。
体調確認と報告
訪問中は食欲、排泄、動き方、呼吸、表情、鳴き方、歩き方、毛づや、元気の有無など、ペットの様子をよく確認し、気になる点や気づいたことがあれば保護者さんへ報告します。
報告文は基本的には、
- 訪問直後
- 作業の合間
- 退室時
にそれぞれ、そのときのペットの様子と自分の行ったお世話の内容について書き込みます。報告の手段がLINEなどの場合には、写真や動画を添えて報告することもあります。
報告文を書くのに文章力はいりませんが、離れた場所にいる保護者さんが安心できるような、ペットの様子が目に浮かぶような書き方を心掛けるとよいと思います。
依頼されることがある補助的な業務
ペットシッターの仕事は、基本的にはペットのお世話が中心です。
ただし、留守中の自宅を訪問するため、保護者さんから補助的な作業を頼まれることもあります。
郵便物・新聞の取り込み
旅行や出張で数日間家を空ける場合、郵便物や新聞がたまってしまうことがあります。
郵便物がたまっていると、留守であることが外からわかりやすくなるため、防犯のために「ポストの中身を家の中に取り込んでほしい」と依頼されることはよくあります。
ただし、郵便物には個人情報が含まれることがあります。
取り込みだけ行うのか、届いた郵便物の詳細までお伝えするのか、置き場所はどこにするのかを事前に確認しておくことが大切です。
植木の水やりや門灯の点灯
ペットのお世話とあわせて、植木の水やりや門灯の点灯、カーテンの開け閉めなどを依頼されることもあります。
これらも、留守中であることをわかりにくくする防犯対策のひとつとして頼まれやすい作業です。
ただし、ペットシッターの本来の仕事はペットのお世話です。補助的な作業が増えすぎると、ペットを見る時間が減ってしまう場合もあります。
そのため、これらの補助的な作業に対応するとしても、短時間でできる範囲にとどめることが大切です。
対応する範囲は事前に決めておく
補助的な業務は、事前に対応範囲を決めておく必要があります。
たとえば、
このように、やるべき範囲を明確にしておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
ちなみに、これらの取り決めは、口頭だけで済ませるのではなく、契約書や打ち合わせ記録に残しておくことをおすすめします。
ペットシッターが対応できないこと・注意したいこと
ペットシッターは、保護者さんの希望にできるだけ沿ってお世話を行う仕事ですが、すべての依頼に対応できるわけではありません。
ペットの安全やシッター自身の安全、法律上の問題を考え、断るべき依頼もあります。
ペットに危険がある依頼は断ることもある
ペットに危険があると判断した依頼は、断ることも必要です。
たとえば、逃げ出す可能性が高い場所での放し飼い、無理な散歩、暑い時間帯の長時間散歩、慣れていないペット同士の接触などは、事故につながるおそれがあります。
保護者さんから希望された内容であっても、これらの危険がある場合はそのまま引き受けず、保護者さんと再度話し合う時間を持ちましょう。
「頼まれたから行う」のではなく、ペットの安全を第一に考える姿勢が大切です。
台風や大雨など、事前の打ち合わせの段階では大丈夫だったことが、ご依頼の日にはできなくなる、ということもあり得ます。
ペットの性格、健康状態、苦手なこと、過去のトラブルだけではなく、できれば天候や当日、家の周囲で行われるイベントなどまで確認し、保護者さんと共通の認識をもっておくようにしましょう。

医療行為や専門的なしつけは引き受けない
ペットシッターは、獣医師ではありません。そのため、診断や治療、医療行為はできません。
ペットの体調に不安がある場合は、事前に保護者さんのほうで動物病院へ相談してもらい、必要に応じて動物病院併設のペットホテルなどを検討してもらうこともあります。
また、専門的なしつけや問題行動の改善も、ペットシッターの通常業務とは分けて考える必要があります。
噛み癖、強い攻撃性、極端な分離不安などがある場合は、ドッグトレーナーや動物病院など、専門家への相談が必要になることもあります。
訓練のプロではないペットシッターが無理に対応すると、ペットにもシッターにも危険が及ぶ可能性があります。
契約書や打ち合わせで線引きを明確にする
ペットシッターの仕事では、事前の打ち合わせと契約書がとても重要です。
どこまで対応するのか、何をしないのか、緊急時は誰に連絡するのか、動物病院へ連れて行く判断はどうするのかなどを、事前に確認しておく必要があります。
この線引きがあいまいなまま依頼を受けてしまうと、思わぬトラブルにつながることがあります。
保護者さんに安心してもらうためにも、また、シッター自身を守るためにも、対応範囲は双方が確認できる状態の文章として残しておくことが肝心です。
特に、鍵の預かり、緊急連絡先、動物病院への連絡、キャンセル時の対応などは、後から誤解が起きやすい部分です。
実際に仕事を引き受ける前に、必要な確認事項を整理しておくようにしましょう。
仕事内容を理解すると、自分に合う働き方も見えてくる
ペットシッターの仕事内容を知ると、この仕事が自分に合っているかどうかも考えやすくなります。
ペットシッターは、動物と関わる時間が多い仕事ではあります。
しかし、実際には保護者さんとの連絡、契約内容の確認、鍵の管理、報告、トラブル防止など、動物のお世話以外に関わる業務も数多くあります。
動物が好きなだけではなく、責任感も必要
ペットシッターにとって、動物が好きな気持ちは大切です。
とはいえ、ペットの命や保護者さんの家の合鍵を預かる仕事ですので「好き」という気持ちだけで続けられるものではありません。
などの責任ある行動が求められます。
また、繁忙期などで依頼が重なる時期には休みが取れないこともあります。このようなときは、体力だけではなく、メンタルの管理も課題となってきます。
犬の散歩はただ楽しいだけでなく、安全配慮にはかなり精神を使いますし、暑さや寒さ、雨の日の移動のストレスもあります。
ただ、それでもやはり、わたしの訪問を喜んでくれるペットたちの姿を見ることができると、疲れも心労も一気に吹き飛びます。
このような仕事内容を具体的に知ってなお、ペットシッターになりたいという方に目指していただけると「こんなはずでは」とならず、仕事を長く続けていけるのではないかと思います。
詳しく学びたい人向けの関連記事案内
ペットシッターの仕事内容に興味を持った方は、次に「実際の訪問の流れ」や「自分に向いているかどうか」を確認してみると、よりイメージしやすくなります。
訪問時にどのような順番でお世話を進めるのかを知りたい方は、訪問ルーティンの記事が参考になります。
また、自分がペットシッターに向いているか気になる方は、向いている人・向いていない人の記事もあわせて読んでみてください。
未経験から目指せるのか、資格が必要なのかが気になる方は、未経験からペットシッターを目指す場合の記事も参考になります。
ペットシッターは、基本的には保護者さんに代わってペットのお世話をする仕事です。
ですが、それだけではなく食事やトイレ掃除、散歩、体調確認などのお世話に加えて、報告や安全管理、契約内容の確認も大切な業務に含まれますし、補助的な仕事を頼まれることもあります。
これからペットシッターを目指す方にとっては、仕事内容を何となくでも把握しておくことで、自分に合う働き方や無理のない働き方をイメージしやすくなるのではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。







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