はじめに
ペットシッターの仕事をしていると、日々保護者さんからLINEやメール、電話などで連絡を受けることがあります。
予約の相談、日程変更、ペットの体調についての情報共有、鍵の受け渡しの確認など、連絡が必要になる場面は少なくありません。
密に連絡が取れる状況は互いの安心にもつながりますが、ここで気をつけたいのが、対応時間を決めずに仕事を始めてしまうことです。
仕事を始めてすぐは「できるだけ早く返事をしなきゃ」「困っているなら対応しよう」という気持ちでいても、それが当たり前になってしまうと、早朝や深夜、休みの日、入浴中、食事中まで仕事の連絡に追われることにもなりかねません。
ペットシッターは、「無理をすれば続けられる」という仕事ではありません。
大切なペットを安全にお世話するためにも、ペットシッター自身が疲れきらない働き方を整えておくことが大切です。
この記事では、ペットシッターの対応時間外の連絡について、どこまで対応するか、どのように線引きすればよいかを整理していきます。
ペットシッターこそ対応時間を決めておいたほうがいい
ペットシッターの仕事では、訪問時間だけでなく、連絡対応の時間も仕事の一部になります。
問い合わせへの返信、予約内容の確認、報告への返答、急な変更連絡など、実際のお世話以外にも対応することはたくさんあります。
そのため、対応時間を決めないまま始めてしまうと、気づかないうちに「24時間いつでも連絡を受ける状態」になってしまうことになりかねません。
24時間365日対応は、思っている以上に負担が大きい
開業したばかりのころは、できるだけ依頼を逃したくない気持ちもあります。
そう思うのは自然なことです。
ただ、24時間365日対応に近い状態にしてしまうと、休む時間がなくなります。
スマホの通知が鳴るたびに仕事のことを考えたり、寝る直前に予約連絡が届いて頭が仕事モードになったりすると、体は休んでいても気持ちは休まりません。
ペットシッターは体力だけでなく、判断力も必要な仕事です。
疲れた状態で仕事を続けると、確認漏れや連絡ミスにもつながりやすくなります。

対応時間は「不親切」ではなく「仕事のルール」
対応時間を決めるということは、「連絡があっても対応しない時間を作る」ということです。このことで、なかには冷たい印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし、対応時間を決めることは、冷たい対応ではなく、落ち着いて確実に返信するための仕事上のルールです。
たとえば、
このように事前に決めておけば、保護者さんも「どの時間に連絡すればよいか」「返事はいつ頃もらえるか」を把握しやすくなります。
こういった仕事上のルールは、ペットシッター側だけでなく、保護者さんにとっても安心しやすい仕組みと言えます。
まだ営業時間そのものを決めていない場合は、無理のない訪問時間や休業日の考え方から整理しておくと安心です。
営業時間の決め方については、こちらの記事でも詳しくまとめています。
保護者さんとの距離が近くなりやすい仕事だからこそ注意する
ペットシッターは、一般的な接客業よりも保護者さんとの距離が近くなりやすい仕事です。
保護者さんと良好な関係性を築けている状態は、ペットシッターにとっては良いことです。
ただ、距離が近くなるほど、お互いに連絡の時間帯や内容に遠慮がなくなってしまうケースも考えられます。
LINEなどの個人的なツールは便利だが境界線があいまいになりやすい
LINEは、報告の文章だけでなく写真や動画も送りやすく、ペットシッターの報告にも便利なツールです。
しかし、便利な一方で、仕事とプライベートの境界線があいまいになりやすい面もあります。
たとえば、保護者さん側に悪気がなくても、
ということが起こる場合があります。
LINEは日常的に使うツールだからこそ、仕事の連絡であることを意識してもらう工夫が必要です。

LINEは家族や友人など、親密な関係の人とつながっていることが多いため、なかなか公私の区別がつきにくいところがあります。
可能であれば、名前の後に「ペットシッター」と肩書を入れるなど、『仕事上のツールとして使っていること』がわかるようにするのもよいかもしれません。
「親しい」と「何時でも対応できる」は別の話
何度も依頼を受けている保護者さんとは、自然と会話が増えることもあります。
ペットの性格を知っていたり、生活リズムを共有していたりすると、保護者さんにとっても頼りやすい存在になるでしょう。
ただ、親しくなったからといって、何時でも対応できるわけではありません。
信頼関係があるからこそ、無理なく続けられる距離感を保つことが大切です。
ペットシッター自身が疲れきってしまうと、結果的に安定したサービスを提供することが難しくなります。
長く仕事を続けるためにも、親しさと業務上の線引きは分けて考えるようにしましょう。
対応時間外の連絡はどこまで受けるか決めておく
対応時間外の連絡をすべて断る必要はありません。
ただし、どの連絡にはすぐに対応して、どの連絡は翌営業日に返信するのかを決めておくことは大切です。
基準がないままだと、その場の気分や相手との関係性で対応が変わってしまい、結果的に保護者さんも判断に迷いやすくなります。
予約や問い合わせは翌営業日対応でもよい
新規問い合わせや通常の予約相談は、基本的に営業時間内の対応で問題ありません。
たとえば、深夜に予約希望のメールが届いたとしても、緊急性がなければ翌営業日に返信する形でよいでしょう。
大切なのは、事前にそのルールを伝えておくことです。
ホームページやLINEの案内文などに、電話対応時間または営業時間とともに、
時間外にいただいたお問い合わせは、翌営業日以降に順次返信いたします。
と書いておくと、保護者さんも納得して待ちやすくなります。
夜中や早朝に届いたメールに対しても早急な返信をしていると、「この時間でも返事が来る」と思われてしまうことがあります。
ペットシッターの仕事を無理なく続けたいのであれば、対応時間を守ることも大切です。
緊急連絡は別枠で考える
一方で、訪問当日や契約中のお世話に関わる緊急連絡は、通常の問い合わせとは分けて考えたほうがよいでしょう。
たとえば、時間外の連絡だとしても、それが「これから訪問予定の保護者さんからである」場合、早めの確認が必要になるケースが多いため、通常連絡と緊急連絡の扱いを分けておくと安心です。
たとえば、
このように決めておくと、対応の判断がしやすくなります。
緊急時に誰へ連絡するかを決めておくことも、安心してお世話をするためには大切です。
緊急連絡先の確認項目については、こちらの記事でも詳しくまとめています。
休業日の対応も決めておく
休業日を設定している場合は、その日の連絡対応についても決めておきましょう。
「休業日でも連絡だけは返す」と決めるのか、
「緊急時を除き、返信は翌営業日」とするのか。
ここをあいまいにしていると、休業日なのに気持ちが休まらなくなります。
ペットシッターは繁忙期と閑散期の差もある仕事です。
休めるときに休むためにも、休業日の連絡ルールは事前に考えておくことをおすすめします。
対応時間外の連絡ルールは事前に伝えておく
対応時間外の連絡でトラブルを防ぐには、あとから線を引くよりも、最初の段階で伝えておくほうがスムーズです。
一度だけでは伝わらなかったり、聞き逃したりすることもありますので、問い合わせ時、初回打ち合わせ時、契約書や利用案内など、複数の場所で伝えておくと安心です。
ホームページに対応時間を明記する
まずは、ホームページに対応時間を明記しておきましょう。
営業時間だけでなく、問い合わせへの返信時間も書いておくと親切です。
たとえば、
お問い合わせ対応時間:9時〜18時
対応時間外にいただいたご連絡は、翌営業日以降に順次返信いたします。
訪問当日の緊急連絡については、お電話にてお願いいたします。
このように書いておくと、ホームページを読んだ保護者さんにも伝わりやすくなります。
なお、「お世話の訪問時間」と「問い合わせ対応時間」が違う場合は、その点も分けて書いておくと誤解を防ぎやすいです。
初回打ち合わせで連絡方法を確認する
初回打ち合わせでは、ペットのお世話内容だけでなく、連絡方法についても確認しておきましょう。
確認しておきたいのは、以下のような内容です。
特に、緊急時の電話連絡については、事前に了承を得ておくと安心です。
ペットシッター側からも、保護者さん側からも、どの連絡手段を使えばよいかが明確になります。
連絡方法以外にも、初回打ち合わせで確認しておきたい項目はたくさんあります。
聞き漏れを防ぎたい方は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
契約書や利用規約にも入れておく
可能であれば、契約書や利用規約にも連絡対応について記載しておくとよいでしょう。
口頭だけで伝えると、時間が経つにつれて認識がずれてしまうことがあります。文章として残しておくことで、あとから確認しやすくなります。
記載例としては、以下のような形です。
営業時間外にいただいた通常のご連絡については、翌営業日以降に返信いたします。
ただし、訪問当日の緊急連絡、ペットの体調変化、鍵や入室に関するトラブルなど、早急な確認が必要な場合はこの限りではありません。
このように、通常連絡と緊急連絡を分けて書いておくと、保護者さんにも伝わりやすくなります。
実際に対応時間外の連絡が来たときの返し方
自分では万全な対策をとったと思っても、対応時間外に連絡が来ることはあります。
決して悪気があるわけではなく、ホームページを確認しづらい方もいれば、事前に伝えていても忘れてしまう方もいるためです。
とはいえ、毎回すぐに返信していると、「この時間でも対応してもらえる」と受け取られてしまい、結果的にシッター側の負担が少しずつ大きくなってしまいます。
お互いに気持ちのよい関係を続けるためには、やわらかく、でもルールは崩さない返し方を意識しましょう。
急ぎでない連絡には翌営業時間内に返信する
予約相談や質問など、急ぎではない内容であれば、翌営業時間内に返信して問題ありません。
返信する場合は、次のように書くと角が立ちにくいです。
ご連絡ありがとうございます。
営業時間外にいただいたため、返信が翌営業日となりました。
ご予約について、以下の内容で確認させていただきます。
~~~
なお、今後は営業時間内(●時~●時)にご連絡をいただけますと助かります。
よろしくお願いいたします。
このように、返信が遅れた理由を軽く添えると、対応時間の存在も自然に伝えられます。
また、このとき「次回からの連絡は営業時間内に」とあわせて伝えておくと、次からの連絡は営業時間内に届くようになるかもしれません。
取り立てて「遅くなって申し訳ありません」と強く謝りすぎる必要はありません。
営業時間外であれば、翌営業時間内の返信は自然な対応です。
時間外の連絡が続く場合は、やんわり伝える
同じ保護者さんから、深夜や早朝の連絡が続く場合は、一度やんわり伝えておくとよいでしょう。
たとえば、
ご連絡ありがとうございます。
恐れ入りますが、通常のお問い合わせやご予約のご相談は、営業時間内に順次確認しております。
緊急時を除き、営業時間外のご連絡は翌営業日以降の返信となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
このように伝えると、相手を責めずにルールを案内できます。
ポイントは、「困ります」と感情をぶつけるのではなく、「こういう対応になります」と業務ルールとして伝えることです。

「メールは深夜に送る」というのがルーティンという方もいらっしゃいます。営業時間外であること、返信は翌日になることを理解・納得していただけた場合には、特に枕詞をつけずに翌日に回答だけお送りすれば問題ありません。
緊急時ではない電話には出ない判断も必要
電話が鳴ると出なければいけない気持ちになるのはわかります。
ですが、対応時間外にもかかわらず、緊急性がわからない電話に毎回出てしまうと、休む時間がなくなります。
留守番電話やメッセージで内容を確認し、緊急性が低い場合は翌営業日に対応する形でもよいでしょう。
ただし、訪問当日や契約中のお世話に関係する可能性がある場合は、状況に応じて確認または対応が必要です。
そのためにも、事前に「緊急時は電話」「通常連絡はLINEまたはメール」などのルールを決めておきましょう。そうすると、出る出ないの判断がしやすくなります。
無理な対応を続けると仕事そのものがつらくなる
わたしの話ですが、個人開業も初めてで「対応時間をきちんと決める」という意識がなく、結果的に24時間365日、何時でも対応するような形になってしまいました。
仕事が終わってやれやれと入浴していたところを呼び出されたこともありますし、深夜や早朝に予約のメールが届くこともあります。
今ではもうすっかり慣れてしまったので、それほどの苦でもないのですが、慣れるまでのあいだは、正直しんどいと感じることもたびたびありました。
だからこそ、これからペットシッターを目指す方には、最初の段階から対応時間をきちんと決めておくことをおすすめしたいと考えています。

最初に決めたルールはあとから自分を守ってくれる
仕事を始めたばかりのころは、少しでも丁寧に対応したくなるものです。
もちろん、丁寧な対応は大切です。
しかし、丁寧であることと、何時でも対応することは同じではありません。
最初に決めたルールは、あとから自分を守ってくれます。
対応時間、連絡方法、緊急時の扱い。
これらを決めておくことで、仕事と休息の切り替えがしやすくなります。
仕事に慣れてきて「もう少し頑張れそうだな」と思ったときには、ルールを広げればよいのです。
ペットシッター自身が元気でいることも大切な仕事
ペットシッターの仕事では、ペットの様子を見て判断したり、保護者さんに正確に報告したり、事故やトラブルを防ぐために気を配ったりする必要があります。
そのためには、ペットシッター自身が落ち着いていることも大切です。
無理な働き方を続けて疲れきってしまうと、思わぬミスをしてしまったり、動物たちの細かな変化に気づきにくくなったりしてしまうこともあります。
大切なペットを安全にお世話するためにも、シッターには休む時間の確保が必要です。対応時間を決めることは、自分のためだけでなく、サービスの質を守るためでもあるのです。
まとめ|対応時間の線引きは、長く続けるための大切な準備
ペットシッターは、保護者さんとの信頼関係が大切な仕事です。
しかし、信頼関係があることと、何時でも連絡に対応することは別の話です。
対応時間を決めずに仕事を始めると、深夜や早朝、休みの日まで連絡対応に追われてしまうことがあります。最初は頑張れても、その状態が続くと、心身の負担は少しずつ大きくなります。
開業前や仕事を始めたばかりの段階で、
を決めておくと、あとから自分を守る大きな支えとなります。
対応時間を決めることは、決して不親切なことではありません。
落ち着いて、正確に、長く仕事を続けるための大切な準備です。
保護者さんに安心して依頼してもらうためにも、そしてペットシッター自身が無理なく働き続けるためにも、連絡対応のルールは早めに整えておくようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






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