はじめに
ペットシッターの仕事では、基本的に事前打ち合わせで確認した内容をもとに、お世話の準備を進めていきます。ですが、『現場に行ってみたら、聞いていた内容と少し違う状況になっていた』ということは絶対にないとは言い切れません。
たとえば、預かる予定の動物の数が増減していたり、お願いされていない作業をその場で頼まれたり、環境が想定と異なっていたりすることがあります。
こうした場面では、『そうはいっても、ここからキャンセルというわけにもいかないし』『困っているなら引き受けたほうがいいのだろうけど、どうしたら……』と迷う方も多いのではないでしょうか。
もちろん、多少変化があっても柔軟に対応できることもあります。ただし、その場の流れだけで簡単に引き受けてしまうと、事故やトラブル、料金面の行き違いにつながることもあります。
この記事では、依頼内容が当日に変わっていたときに、どんな点を確認し、どこまで引き受けるか、そして難しい場合はどう断ればよいかを整理していきます。
依頼内容が当日に変わることは実際にある
事前打ち合わせどおりにならないこともある
ペットシッターの仕事は、事前打ち合わせで確認した内容と、双方が納得した契約のもとに成り立っています。ですが、実際には、当日になって状況が変わっていることがあります。
たとえば、以下のようなケースです。
こうした変更は、必ずしも悪意があって起きるわけではありません。保護者さんが忙しく、伝え忘れてしまったり、『このくらいなら問題ないだろう』と思っていたりすることもあります。
問題なのは変更そのものより『安全に対応できるか』
当日の変更があったからといって、すべてが即トラブルになるわけではありません。考えるべきことは、その変更が安全に対応できる内容かどうかです。
ペットシッターは、その場で判断する機会も多い仕事ですが、何でも受ければよいわけではありません。
動物の安全、自分の安全、契約内容、料金の整合性。これらが保てない変更であれば、安易に引き受けないことも大切です。
当日の行き違いをできるだけ減らすためには、初回打ち合わせで何を確認しておくかを整理しておくことも大切です。
まず確認したいのは『追加対応できる状況かどうか』
頭数・種類・性格が違う場合は慎重に考える
当日になって動物の数や種類が違っていた場合は、まず落ち着いて確認が必要です。
たとえば、犬だけと聞いていたのになぜか猫もいた、というだけでも、確認すべきことは増えます。
とくに、初見の動物が増えている場合は、性格や扱い方がわからないぶん、慎重な判断が必要です。
『その家にいるということは、保護者さんの知っている子だから大丈夫だろう』と考えるのではなく、把握できていない相手が増えたと考えたほうが安全です。
動物の数や組み合わせが増えると確認ポイントも変わってくるため、多頭飼いのお世話で気をつけたいこともあわせて見ておくと参考になります。
作業内容が増えている場合は時間内に収まるかを見る
追加の作業を頼まれたときは、まず契約している時間の中で無理なく対応できるかを見ます。
たとえば、
といった依頼です。
シッター側としては事前打ち合わせの内容でスケジュールを組んでいます。追加作業のひとつひとつは簡単なものだったとしても、積み重なってくると時間を圧迫します。時間が足りなくなれば、本来すべきだったお世話が雑になるおそれがあります。
そのため、対応を考えるときは『時間内にできるかどうか』だけではなく、『無理なく、確認を省かずにできるかどうか』で判断することが大切です。

どうしても時間が足りない場合は、保護者さんに連絡して、どこまでを優先するか確認しておくと安心です。連絡がつかないときは、事前打ち合わせで決めていた内容を優先して進める形でよいと思います。
危険がある変更はその場で引き受けない
以下のようなケースは、とくに慎重であるべきです。
こうした変更は、『作業が少し増えただけ』とは言いにくいものです。安全性に不安がある内容は、その場の空気で受けないことが大切です。
自分には無理だと思うのであれば、事前打ち合わせで確認し契約した内容のお世話だけを行い、その他の作業についてはお引き受けできないとお伝えするのも、仕方のない判断だと考えます。

引き受けるかどうかは『善意』より『線引き』で決める
対応できる場合は条件を整理してから受ける
状況を確認したうえで、安全に対応できると判断できるなら、引き受けること自体は問題ありません。
ただし、その場合も曖昧なまま進めないことが大切です。
確認しておきたいのは、たとえば次のような点です。
柔軟さは強みになりますが、曖昧さはトラブルのもとになります。引き受けると決めたときほど、条件を整理しておくことが大切です。

このような場面では、電話で確認することも多いと思います。あとで行き違いにならないよう、追加で決まった内容は、訪問後にメッセージなどで簡単に残しておくと安心です。
断る判断は冷たさではなく安全管理
ペットシッターの仕事では、頼まれたことをすべて引き受けるのが誠実さ、とは限りません。
対応が難しい内容を無理に受けると、
といった問題につながりやすくなります。
断るのは気が引けるものですが、安全に対応できないことをきちんと伝えるのも、トラブル回避術であり、仕事の一部でもあります。
断るときは『感情』ではなく『理由』を伝える
責める言い方ではなく、対応基準として伝える
当日の変更を理由にお世話を断るときは、『困ります』『聞いていません』だけで終わらせず、事前確認が必要な内容であることを伝えましょう。
たとえば、こんな伝え方です。
相手を責めたくなる気持ちはわかります。ですが、責めたところで状況は変わりません。
保護者さんに断りを入れる際は、安全面と業務上の基準から判断して断らざるを得ないと伝える方が納得していただけるかと思います。
一部だけ引き受けるという選択肢もある
すべて受けるか、すべて断るか、の二択ではない場面もあります。
たとえば、
といった形で、今回できる範囲だけ対応するという考え方もあります。
こうしておくと、保護者さんも状況を整理しやすくなり、こちらも無理を抱え込みにくくなります。

わたしの体験談|犬3頭のお宅に行ったら猫がいた
ここで、実際にわたしが経験したケースをひとつご紹介します。
何度もお伺いしているリピーターさんのお宅に行ったときのことです。そのお宅では小型犬が3頭暮らしており、その訪問日の事前打ち合わせでも、とくに追加の共有はありませんでした。
ところが、当日伺ってみると、家の中に猫がいました。
到着してすぐに保護者さんに確認したところ、親族の家の子をその期間だけ預かることになったものの、伝え忘れていたとのことでした。その猫はその家で過ごし慣れているらしく、犬たちとも仲がよく、ごはんやトイレもきちんと用意されていました。
大きな問題にはならなかったのですが、現場ではかなり焦りました。
このときは、
こうした条件がそろっていたため、対応することができました。
そのうえで、保護者さんの了解を取り、費用には猫1頭分を加算させてもらいました。結果的には大きなトラブルになることもなく、『こういうこともあるのだな』と勉強になった出来事です。
ただ、今振り返っても、どんなケースでも同じように受けられるとは思っていません。たまたま条件が整っていたから対応できたのであって、状況が違えば断る判断も必要だったと思います。
当日の変更に振り回されないために決めておきたいこと
事前に「変更時の扱い」を決めておく
当日の変更で迷いすぎないためには、あらかじめルールを持っておくと安心です。
たとえば、
こうした基準を決めたうえで、契約書上で双方確認をしておくと、その場の気まずさだけで判断しにくくなります。
ルールがあると保護者さんにも伝えやすい
事前ルールは、自分を守るためだけのものではありません。
保護者さんにとっても、『どこまでお願いできるのか』が明確になるので、行き違いを防ぎやすくなります。
やさしさだけで仕事を続けようとすると、どこかで無理が出てきます。ペットシッターの仕事を無理なく続けていくためには、引き受ける範囲を自分の中で明確にしておくことが大切です。
当日の変更に備えるなら、キャンセルだけでなく変更時の扱いも事前に決めておくことが大切です。
まとめ
依頼内容が当日に変わっていたときは、まず落ち着いて、何がどの程度変わっているのかを確認することが大切です。
そのうえで見るべきなのは、『困っているから引き受けるべきか』ではなく、いまの準備で安全に対応できるか、契約の範囲として妥当かという点です。
対応できる内容であれば、条件や追加料金を整理したうえで引き受ける。難しい内容であれば、理由を添えて断る。この線引きができるようになると、現場で慌てにくくなります。
当日の変更は、今後も起こりうるものです。
だからこそ、その場の流れだけで抱え込まず、自分なりの基準を持っておくことが、長く仕事を続ける助けになるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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