はじめに
ペットシッターの仕事では、どれだけ気をつけていても、相手の受け取り方や認識のずれから不満や苦情につながることがあります。
もちろん、苦情を受けないに越したことはありません。ですが、実際には『説明したつもりだった』『確認したつもりだった』という小さな行き違いが、あとから大きな不信感になることもあります。
とくに開業したばかりの頃は、苦情を受けると必要以上に落ち込んだり、反射的に言い返したくなったりしやすいものです。けれど大切なのは、その場の感情で動かず、何に対する苦情なのかを整理して、順序立てて対応することです。
この記事では、ペットシッターが苦情を受けたときに感情的にならずに整理する手順と、今後に活かすための見直し方をまとめます。
まず大切なのは、その場で感情的に反応しないこと
すぐに言い返したくなっても、いったん受け止める
苦情を受けたときは、こちらに思い当たる点がある場合でも、ないと感じる場合でも、まずは落ち着いて話を受け止めることが大切です。
途中で反論したくなることもあるかもしれませんが、相手がまだ感情的な状態にあるときに説明を重ねても、かえってこじれやすくなります。
まずは『そのように感じられたのですね』『ご不安なお気持ちにさせてしまい申し訳ありません』と、相手の訴えを受け止める姿勢を見せたほうが、その後の話し合いが進めやすくなります。
その場で結論を出そうとしない
苦情を受けた直後は、情報がそろっていないことも少なくありません。
記憶だけで『そうではなかったはずです』と返したり、逆に必要以上に謝ってしまったりすると、あとで事実確認をしたときに説明がぶれてしまうことがあります。
そのため、まずは内容を聞き取り、
などを整理し、『確認のうえ、あらためてご連絡します』といった形で一度持ち帰るほうが安全です。
文章で来た苦情も、勢いで返さない
LINEやメールで苦情が来ると、焦りや不安から、こちらも早く返したくなります。ですが、強い言葉で届いたメッセージほど、すぐに返信すると感情がにじみやすくなります。
文章で返す場合も、
この3点に絞って、まずは短く落ち着いて返すのが無難です。
苦情の内容を分けて考えると、対応しやすくなる
お世話の内容に関する苦情
たとえば、
といったものは、お世話そのものへの苦情です。
この場合は、契約時や打ち合わせ時にどう確認していたか、当日の報告内容はどうだったかを見返しながら、認識のずれがどこで生じたのかを確認していきます。
明確なミスがあったなら、その点はごまかさずに認め、今後どう改善するかまで伝えることが大切です。
家の管理に関する苦情
ペットシッターの仕事は、ペットだけでなく住まいにも関わります。
そのため、
など、家の管理に関する苦情が出ることもあります。
この種の苦情は、ペットのお世話以上に『生活感覚の違い』が出やすい部分です。シッターにとってはささいな問題と感じることでも、保護者さんにとっては大きな不快感につながることがあります。
記録や報告の有無、事前説明の内容を見直しながら、どこまでが説明不足で、どこからが感覚の違いなのかを冷静に分けて考える必要があります。

保護者さん以外の第三者からの苦情
苦情は、保護者さん本人からだけとは限りません。たとえば隣人や管理会社、近隣の通行人など、第三者から指摘を受ける場合もあります。
たとえば、
といったケースです。
この場合は、まず保護者さんにも事実を共有し、どのような指摘があったのかを簡潔に伝えることが大切です。シッター個人だけで抱え込まず、住まいや近隣との関係に関わることとして扱ったほうが、今後の調整がしやすくなります。

たとえば、保護者さんの外出中に犬が鳴き続けてしまい、その声について近隣からシッターに苦情が入ることもあります。
このような場合は、シッターだけで抱え込まず、今後の備えとして保護者さんと対策を考えておくことが大切です。
苦情を受けたときは、事実確認を先にする
自分の記録を見返す
苦情対応でまず役立つのは、そのときの記録です。訪問時間、実施したお世話の内容、報告文、写真、メッセージのやり取りなどを見返すことで、思い込みではなく事実ベースで整理しやすくなります。
記録があれば、こちらを守る材料になることもありますし、逆に改善すべき点がはっきりすることもあります。
苦情対応は、感情よりも記録が助けてくれる場面が多いです。
相手の言い分と、自分の認識を切り分ける
苦情を受けると、自分が責められていることにだけ目を向けてしまいがちです。
けれど実際には、
は、必ずしも同じではありません。
たとえば『雑に扱われた気がした』という訴えがあったとしても、それが具体的にどの場面を指しているのかを丁寧に確認しないと、改善点も見えにくくなります。
相手の気持ちは受け止めつつ、事実関係は別に整理することが大切です。
必要があれば、返答前に一度文章を整える
事実確認が終わったら、返答は口頭でも文章でもよいですが、内容を整理してから伝えたほうが安心です。
返答では、
を順番に伝えると、話がまとまりやすくなります。
反対に、長い言い訳や感情的な説明が入ると、かえって『自分の非を認めない』『ごまかされた』と受け取られることもあります。伝える内容は、誠実に、しかし整理しておくのが大切です。
苦情が大きくなりやすいのは、事前のすり合わせが足りないとき
あいまいなまま始めたことが、あとから不満になりやすい
苦情の中には、明確なミスというよりも、最初の話し合いが十分でなかったことで起こるものがあります。
たとえば、
こうした状態のまま依頼が始まると、保護者さん側は『そこまでしてもらえると思っていた』、シッター側は『そこまでは聞いていなかった』となりやすく、苦情につながりやすくなります。

双方が納得していない部分を残さない
話し合いの場で少し違和感があっても、『まあどうにかなるだろう』で進めてしまうと、あとで火種になることがあります。
たとえば料金、時間、追加対応、鍵の扱い、家の備品の使用範囲などは、とくに曖昧にしないほうがよい項目です。その場では小さな違和感でも、依頼が終わったあとには『聞いていた話と違う』と感じられやすいからです。
苦情を減らすためには、トラブルが起きてからの対応だけでなく、依頼を受ける前のすり合わせを丁寧にすることが欠かせません。
苦情は、相性や期待値のずれから起きることもある
どれだけ丁寧に対応していても、相手との相性や、期待値の高さによって苦情に発展することもあります。
そのため、すべてを『自分の努力不足だった』と背負いすぎないことも大切です。
もちろん見直すべき点は見直すべきですが、必要以上に自分を責めてしまうと、今後の仕事にも影響が出てしまいます。
苦情は、改善材料として受け取りつつも、自分を全面否定する材料にしないことが大切です。
苦情対応のあとに、見直しておきたいこと
同じことが起きないように、仕組みを直す
苦情対応で本当に大切なのは、その場を収めることだけではありません。同じようなことが起きにくい形に、仕事の流れを整え直すことです。
たとえば、
といった見直しは、今後の安心につながります。
必要に応じて、断る基準も持っておく
苦情をきっかけに、今後も同じ相手と無理なくやり取りできるかを考える場面もあります。
一度の行き違いであれば修正できることも多いですが、強い要求が続く、説明しても納得が得られない、こちらの心身の負担が大きすぎる、という場合は、今後の依頼を慎重に考えたほうがよいこともあります。
『一度苦情を受けたのだから、何があっても引き続き対応しなければならない』と考える必要はありません。
誠実に対応することと、無理な関係を続けることはまったく別の問題です。

苦情とは少し違いますが、『一か月毎日、月1万円で来てほしい』というご依頼をお断りしたことはあります。
こちらには難しい条件に思えても、相手にとっては自然な希望であることもあります。だからこそ、価値観や条件が大きく合わない場合は、無理に引き受けないこともリスク管理のひとつです。
まとめ
苦情を受けたときは、驚いたり落ち込んだりして、気持ちが揺れてしまうものです。
けれど、そんなときほど大切なのは、感情のまま反応せず、何に対する苦情なのかを整理して、事実確認をしながら順序立てて対応することです。
お世話の内容に関することなのか、家の管理に関することなのか、あるいは第三者からの指摘なのかによって、見るべきポイントは変わります。
その場をなんとか収めるだけで終わらせず、最初の打ち合わせや記録の残し方、説明の仕方まで見直していくことで、今後のトラブル予防にもつながります。
苦情は、受けないに越したことはありません。
それでも、もしものときに落ち着いて対応できるようにしておくことは、ペットシッターとして仕事を続けていくうえで大切な備えのひとつです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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